永田周太郎

永田 周太郎（ながた しゅうたろう）は、1971年1月31日生まれ、広島県呉市出身の美術デザイナーです。現在は緑山スタジオ・シティの代表取締役社長を務めています。

経歴

故郷の呉市で幼稚園から高校まで過ごし、呉三津田高等学校を卒業後、広島大学工学部へ進学。大学および大学院博士課程前期では一貫して建築意匠学を深く学びました。大学院修了は1995年です。

卒業後の進路として東京での就職は当初考えていませんでしたが、テレビ局での美術デザイン職は当時の東京キー局でのみ募集があり、中でも採用を行っていたのがTBSだったため、同社への入社を決意しました。他の企業より早い採用時期だったことも影響し、TBSに採用されたことがきっかけで他の選考は受けなかったと語っています。

1995年にTBSに入社。美術デザイナーとしての採用でしたが、最初の1年間は制作局に配属され、バラエティ番組の制作現場を経験しました。翌年、美術センターの美術デザイン部へ異動し、アシスタント期間を経て、1997年のテレビドラマ『理想の結婚』で美術デザイナーとしてデビューを果たしました。以降、手掛けたドラマ作品は60本以上に上ります。

建築学で培った知識に基づいた、説得力のある空間構成と美しい美術セットの創造を得意としています。2004年には一級建築士の資格を取得。2005年には、ドラマ『広島・昭和20年8月6日』のために、広島県産業奨励館（現在の原爆ドーム）のセットを原寸大で製作するという大規模なプロジェクトを手掛けました。この撮影経験が契機となり、広島大学大学院工学研究科の社会人枠で博士課程に入学し、2009年に博士（工学）の学位を取得しています。

故郷への思いも作品に反映されており、2018年のドラマ『この世界の片隅に』では、舞台となった呉市の家屋を実際にスタジオまで移送してセットとして使用しました。ドラマ化決定後、月に一度のペースで呉に帰郷し、綿密な調査を行ったと述べています。

2019年には美術センター美術デザイン部を離れ、TBSホールディングスグループデザイン局グループ戦略部の担当部長に昇格。2021年4月には、TBSホールディングスの技術美術系子会社として新設されたTBSアクトに出向し、アートセンター長に就任しました。その後、緑山スタジオ・シティの代表取締役社長に就任しています。

人物

趣味は建築見学で、旅行の際には必ず建築探訪をスケジュールに組み込むほどです。また、熱心な広島東洋カープファンでもあります。

家族は、フリーアナウンサーの堀井美香氏（元TBSアナウンサー）と娘（1997年生まれ）、息子（2000年生まれ）がいます。妻の堀井氏とはTBSの同期入社で、入社後半年ほどで交際を開始。永田氏自身は結婚を急いでいなかったものの、堀井氏が「運命の人」と感じ、1年後に結婚に至ったというエピソードがあります。2018年には、堀井氏がアシスタントを務めるラジオ番組で夫婦共演が実現しました。

受賞歴

美術デザイナーとして、手掛けた作品で複数の賞を受賞しています。

• - 第10回橋田賞（『明るいほうへ 明るいほうへ』）
• - 第30回伊藤熹朔賞（『明智小五郎対怪人二十面相』）
• - 第5回映像技術賞（『涙そうそうプロジェクト 広島昭和20年8月6日』）
• - 第9回映像技術賞（『MR.BRAIN』）
• - 第37回伊藤熹朔賞（『MR.BRAIN』）
• - 第71回映像技術賞（『陸王』）

主な担当作品

TBSを中心に、60本以上のテレビドラマや複数の映画で美術デザインを担当しています。

• - テレビドラマ：

『理想の結婚』（1997年）、『砂の器』（2004年）、『世界の中心で、愛をさけぶ』（2004年）、『タイガー&ドラゴン』（2005年）、『広島 昭和20年8月6日』（2005年）、『クロサギ』（2006年）、『MR.BRAIN』（2009年）、『JIN-仁-』（2009年、完結編2011年）、『運命の人』（2012年）、『とんび』（2013年）、『陸王』（2017年）、『この世界の片隅に』（2018年）、『大恋愛〜僕を忘れる君と』（2018年）など多数。

• - 映画：

『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』（2003年）、『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』（2006年）、『映画 クロサギ』（2007年）、『ROOKIES -卒業-』（2009年）など。

故郷である広島県の方言にも関心を持ち、実家に帰るたびに両親に確認するなど、作品制作に活かしています。建築的知識と併せて、細部へのこだわりが作品のリアリティに繋がっています。

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