永遠のAstraea

永遠のAstraea：母性と平和への願いを込めたガンダム主題歌

柴咲コウが歌う配信限定シングル『永遠のAstraea(とわのアストライア)』は、アニメーション映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』の主題歌として制作されました。タイトルの"Astraea"は、作品中に登場するシャア・アズナブルとセイラ・マスの実母の名前であり、楽曲の中心的なテーマとなっています。

ガンダムとの出会いから生まれた共感

柴咲コウ自身、ガンダム作品に馴染みがなかったことから、主題歌制作にあたってはまず『機動戦士ガンダム』と『THE ORIGIN』の違いを理解するところから始めました。彼女は、有名なアニメ作品に関われる喜びを感じながらも、同時にその世界観を表現できるのかという不安を抱えていたといいます。しかし、作品の世界観に深く入り込むことで、楽曲制作への強い想いを抱くことになります。

母性と平和への視点：歌詞制作

作詞にあたっては、『THE ORIGIN』の漫画原作やアニメを参考に、シャアとセイラの幼少期、キャスバル・レム・ダイクンとアルテイシア・ソム・ダイクン時代の回想シーンに焦点を当てました。特に、アストライアと子供たちの穏やかな日常、家族の温もりを印象的に捉え、歌詞に反映させています。

柴咲コウは、アストライアの視点に立って作詞を進めました。プロデューサーの藤田純二氏からの依頼で、戦争の不安や恐怖ではなく、幼少期の柔らかな風やぬくもりを表現することが求められました。この依頼は、戦争が勃発する前の穏やかな時代を描写することで、視聴者にこれから訪れる悲劇を予感させる効果を狙ったものだと考えられます。

アストライアは過酷な運命を背負った人物ですが、柴咲コウはせめて歌の中では幸せになってほしいという思いを込め、優しく温かい歌詞を生み出しました。特に、アルテイシアがアストライアに地球について尋ねるシーン、そしてそれを背にして聞くキャスバルの姿は、柴咲コウにとって強い印象を与え、歌詞制作の大きなインスピレーションとなりました。砂漠のオアシスのような、家族だけの安らぎの時間を表現することに成功しています。

レコーディング：少女のような歌声

レコーディングでは、安彦良和監督と意見交換を行い、作品全体のキーワードである『母性』を綿密に表現することに注力しました。柴咲コウ自身、この楽曲の曲調が自身の声質に合っていると実感し、心地よく歌うことができたと言います。服部隆之氏による作曲も、柴咲コウの想像を超えるアプローチであったことから、何度もレコーディングを重ね、最終的には少女のような歌い方になりました。

楽曲とシングル収録内容

『永遠のAstraea』は、アストライアの母性と、戦争前の平和な時代、そして家族の温かみを表現した楽曲です。シングルには、この楽曲に加え、インストゥルメンタルバージョンを含む計5曲が収録されています。それぞれの楽曲は、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』の世界観を補完するような内容となっています。

このシングルは、単なる主題歌としてだけでなく、作品の世界観を深く理解し、表現しようとする柴咲コウの真摯な姿勢が感じられる、完成度の高い作品と言えるでしょう。そして、その歌声は、聴く者の心に深く響き、母性と平和への願いを強く感じさせます。

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