永野芳辰

永野芳辰（ながの よしたつ）は、1898年（明治31年）に生まれ、1984年（昭和59年）に没した日本の官僚、実業家です。彼は高知県知事を務め、特に1953年（昭和28年）の奄美群島本土復帰に大きく貢献した人物として知られています。

生い立ちと学歴

永野芳辰は、鹿児島県大島郡笠利村佐仁（現在の奄美市）で、永野孫七の長男として生まれました。彼は旧制鹿児島県立第二鹿児島中学校、旧制第七高等学校造士館を経て、1925年（大正14年）に京都帝国大学法学部政治学科を卒業しました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、永野は愛知県属を皮切りに、沖縄県、福島県、北海道、東京府で各課長を歴任しました。その後、北海道拓殖部長、大政翼賛会地方部長、秋田県総務部長兼学務部長、広島県部長・経済部長、同内政部長などの要職を歴任。1945年（昭和20年）10月には高知県知事に就任しました。しかし、大政翼賛会時代に翼賛選挙の担当部長として活動したことが、GHQによる公職追放令の対象となり、政界進出の道を断たれました。

実業界での活躍

公職追放後は実業界に転身し、飯野炭鉱をはじめとする様々な企業の役員を兼務しました。また、日本経営者団体連盟理事、通商産業合理化審議会委員、選挙制度審議会委員、地方制度調査会委員など、数多くの要職を務めました。1962年（昭和37年）には奄美群島振興審議官委員、1975年（昭和50年）には奄美群島振興開発審議会委員として、郷土の発展に貢献しました。

奄美群島復帰への貢献

特に、永野は終戦後の米軍との処理問題で目覚ましい活躍をしました。その功績が認められ、1970年（昭和45年）4月25日には正五位勲二等瑞宝章を受章しました。奄美大島にあるあやまる岬には、1976年（昭和51年）に全国の笠利町出身者によって寄贈された永野の胸像が建てられています。

親族

永野の弟である永野林弘は、初代鹿児島県教育長を務めました。

参考文献

奄美大島あやまる岬「永野芳辰先生顕彰胸像建立趣意書」
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
鹿児島県姓氏家系大辞典編纂委員会編著『鹿児島県姓氏家系大辞典』角川日本姓氏歴史人物大辞典46、角川書店、1994年。

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