永野若松

永野若松の生涯と貢献

永野若松（ながの わかまつ、1898年5月7日 - 1977年3月30日）は、日本の内務官僚として知られています。彼は福井県知事を経て、特に原爆被災時の長崎県知事としての業績で名を馳せました。

生い立ちと教育

永野は福岡県北九州市小倉区に生まれました。教育は東京帝国大学で受け、最初に工学部電気工学科を卒業し、その後法学部に編入して学びました。卒業後、内務省に入省し、さまざまな役職を歴任しました。厚生省労政課長や警視庁刑事部長などを経て、1945年の4月には長崎県知事に任命されました。

原爆投下と長崎の危機

1945年、彼が長崎県知事に就任して間もなく、広島市への原子爆弾投下が実行されました。8月8日、広島の惨状を視察した政治家からの報告を受け、永野は長崎も爆撃の標的になる可能性が高いと判断しました。翌日、長崎市内の防空壕に県の幹部を招集し、「新型爆弾」に備えた対策を協議しました。しかし、その直後の8月9日、実際に長崎に原爆が投下されました。

爆心地から約2.7km離れた場所にいたため、直接の被害は免れましたが、長崎県庁には初期の被害情報が不足していました。永野は「広島の被害に比べ、被害は軽微である」と報告しました。

実際の被害と対応

その後、被爆から1時間以上経過した12時30分頃、長崎県庁で火災が発生しました。これは原子爆弾の熱線によるもので、火災は迅速に周辺に拡大しました。この影響で、永野や県の関係者は被爆の実情を把握することができませんでした。しかし、夕方になって重傷の被爆者が避難してくるのを目の当たりにし、さらに市長からの報告を受けて、被害の大きさに気付くこととなります。

永野は内務省に訂正の電報を送り、救援を要請しました。彼はこの後も度重なる報告を発信し続け、最終的に被害者数について「死傷者は約5万人」と報告しました。このように、彼は被爆直後の復旧作業や、被害者の救援を指揮しました。

終戦後の活動

1945年8月15日の終戦時には、永野は「徹底抗戦」を唱える軍や憲兵の説得に尽力しましたが、1946年にGHQにより公職追放処分となり、長崎県知事を辞任せざるを得ませんでした。1951年に追放が解除された後、1952年の衆議院議員選挙に無所属で立候補しましたが、当選には至りませんでした。その後は新日本証券の顧問などを務めました。

亡くなるまで

永野は1977年3月30日に急性肺炎により逝去しました。その生涯には多くの困難がありましたが、彼は日本における原爆の戦後処理と長崎の復興において重要な役割を果たしたのです。

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