汎アフリカ会議

汎アフリカ会議：アフリカ解放とパンアフリカ主義の進展

20世紀初頭、アフリカ大陸の大半がヨーロッパ列強の植民地支配下にあった時代、アフリカの人々の自由と独立を求める運動が活発化しました。その中心的な役割を果たしたのが、1900年から1994年にかけて開催された7回の汎アフリカ会議です。これらの会議は、植民地主義の終焉とアフリカの自立を訴え、後のアフリカ独立運動やパンアフリカ主義の発展に大きな影響を与えました。

会議の開催と目的

第1回会議は1900年ロンドンで開催され、その後パリ、ロンドン、ニューヨーク、マンチェスター、ダルエスサラーム、カンパラと、世界各地で会議が続けられました。会議の主要な目的は、アフリカと西インド諸島における植民地支配からの平和的な脱植民地化の促進でした。帝国主義による搾取と人種差別を終わらせ、人権と経済発展における平等を主張し、国際協調に基づいた新たな世界秩序の構築を目指しました。

背景：植民地主義と社会主義的理想

列強による植民地支配は、アフリカの人々の政治参加や職業選択を厳しく制限していました。第一次世界大戦後、ヴェルサイユ条約の交渉にアフリカ代表が参加できなかったことは、多くのアフリカ系知識層や元兵士たちに大きな失望をもたらしました。植民地主義が資本主義体制と密接に結びついていた一方、平等と国際協調を謳う社会主義思想は、アフリカの独立を目指す人々にとって魅力的な選択肢として映ったのです。 社会主義的思想家クラウデ・マッケイの手紙にも、黒人兵士たちの経験と社会主義への期待が見て取れます。

主要な会議と参加者

各会議には、アフリカ各地、西インド諸島、そしてアメリカ合衆国などから多くの代表者が出席しました。第1回会議（1919年パリ）では、W・E・B・デュボイスとアイダ・ギブス・ハントが中心となり、ヴェルサイユ条約への請願活動を行いました。参加者には、セネガルの政治家ブレイズ・ディアニェなど、様々な国籍や立場の人々が含まれていました。しかし、イギリスやアメリカ政府によるパスポート発給拒否など、様々な妨害もありました。

第2回会議（1921年ロンドン、パリ、ブリュッセル）では、インドの革命家シャプールジ・サクラトヴァラやガーナのジャーナリストW・F・ハッチンソンなど、アフリカ以外にも多くの参加者がいました。ロンドンでの会議では重要な決議が採択され、後にデュボイスが国際連盟への宣言として発表しました。ブレイズ・ディアニェは、この宣言が過激すぎると判断し、汎アフリカ主義運動から離れていきました。

第3回会議（1923年ロンドン、リスボン）は組織が不十分でしたが、自治権の獲得、ディアスポラの問題、アフリカとヨーロッパの関係など、重要な問題が議論されました。第4回会議（1927年ニューヨーク）は第3回会議と同様の決議を採択しました。

第5回会議（1945年マンチェスター）は、パンアフリカ連盟の設立直後に開催され、最も重要な会議の一つとみなされています。ジョージ・パドモアとクヮメ・ナークルマが中心となり、ケニアのジョモ・ケニヤッタ、マラウイのヘイスティングズ・バンダ、ナイジェリアのオバフェミ・アウォロウォなど、後のアフリカ独立運動を担う指導者たちが多数参加しました。この会議は、パンアフリカ連盟の設立にも大きく貢献しました。また、77歳となったデュボイスの参加も歴史的な意義を持っていました。

パンアフリカ主義の意義と第5回会議の重要性

パンアフリカ主義は、アフリカ諸国の経済、知的、政治的な協力を通して、アフリカの富をアフリカの人々のために活用することを目指す運動です。市場の統一と新たな政治的枠組みの構築を訴えました。1776年に端を発したパンアフリカ主義運動は、第5回会議を機に、アフリカ大陸の脱植民地化へと大きく前進しました。マンチェスターが会議の開催地として選ばれたのは、同市の高い政治意識が背景にあります。 第5回会議は、アフリカ系ディアスポラの人々、特にアフロ・カリブ海の人々やアフロ・アメリカ人たちの参加が目立った点も特徴でした。

汎アフリカ会議は、アフリカの独立とパンアフリカ主義の発展に大きな役割を果たしました。これらの会議の活動は、アフリカの人々の自由と平等を求める闘争の歴史において、重要な転換点となったのです。

もう一度検索