汎新日本主義

ALI PROJECT『汎新日本主義』

『汎新日本主義』は、宝野アリカと片倉三起也による音楽ユニット、ALI PROJECTが2010年に発表した12枚目のオリジナルアルバムです。本作は、日本の伝統や精神性への回帰をテーマに、ALI PROJECTならではの耽美で幻想的な世界観が展開されています。

アルバム概要

オリジナルアルバムとしては前作『Poison』から約13ヶ月ぶりのリリースとなりました。収録曲数は10曲で、最終トラックはインストゥルメンタルという構成は過去のアルバムと同様です。今作では初めて、初回限定盤と通常盤の2形態で発売されました。

初回限定盤には、イラストレーターのfeebeeが宝野アリカをイメージして描き下ろしたイラストジャケットが採用されています。また、「絶國TEMPEST」と『Dilettante』に収録された「愛と誠」のMusic Clipを収録したDVDが付属する豪華仕様となっています。さらに、初回限定盤のみ6曲目に「帝都乙女決死隊」ではなく、楽曲とメロディは同一ながら歌詞が異なる「四神獣飼殺し」が収録されているという特別な仕掛けも施されています。

楽曲解説

アルバムには、多様な音楽性とテーマを持った楽曲が収録されています。

絶國TEMPEST
宝野アリカが「嵐ヶ丘」の第二弾と語る楽曲。孤島の王妃が国を護りたいと願う心情が歌詞に込められています。初回限定盤にはMusic Clipが収録されています。
髑髏ヶ城の巫女達は永遠に現世の夢を見る
「畏怖」をテーマにした楽曲で、初期のアルバム「幻想庭園」との繋がりを感じさせます。バルトーク・ベーラの楽曲からの引用も取り入れられています。
平成日本残酷物語
「青嵐血風録」の流れを汲む楽曲で、スメタナやクセナキスの楽曲からの引用が散りばめられています。サンプリング音源も効果的に使用されています。
巴里と画家と女
祖国を捨てた若い画家と異国の恋を歌った、アコーディオンの音色が印象的な三拍子の楽曲です。
SENGOKU GIRL
歌詞がカタカナと漢字のみで構成された、ヴィジュアル・パンク色の強い楽曲です。サンプリング音源が効果的に使用されています。
四神獣飼殺し(初回限定盤) / 帝都乙女決死隊(通常盤)
初回限定盤と通常盤で異なる歌詞が収録された楽曲。楽曲とメロディは同一です。サンプリング音源が使用されています。
鹿鳴館ブギウギ
『Poison』に収録された「極色一代女」に続く生ジャズver.の楽曲です。
東方憧憬未見聞録
「ヘテロ失楽園」以来のインドをテーマにした楽曲です。
平和の因子
雅楽風の音を取り入れたスローテンポな楽曲です。
この國よ静かに目覚めたまえ
インストゥルメンタル。楽曲の中に「君が代」のフレーズが取り入れられています。

特典DVD

初回限定盤には、「絶國TEMPEST」と「愛と誠」のMusic Clipが収録されたDVDが付属します。バンド形式のPVには、宝野アリカ、片倉三起也に加え、バイオリンの渡辺剛と杉野裕も出演しています。

参加ミュージシャン

宝野アリカの作詞、片倉三起也の作曲を中心に、平野義久、斉藤聡が編曲で参加しています。ストリングスアレンジは平野義久と渡辺剛が担当。RUSH by 加藤高志、渡辺剛ストリングスをはじめ、水野弘文（アコーディオン）、Shino Mari（パーカッション）、そうる透（ドラム）、松本茂（ウッドベース）など、多彩なミュージシャンが参加し、アルバムに彩りを添えています。

『汎新日本主義』は、ALI PROJECTの音楽的な探求心と、日本の文化や歴史への深い愛情が感じられる作品です。耽美で幻想的な世界観に浸りたい方におすすめのアルバムです。

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