汝知り初めし逢魔が刻に…

汝知り初めし逢魔が刻に…

『汝知り初めし逢魔が刻に…』(なれしりそめしおうまがときに…)は、2000年と2010年に繰り返し上演された演劇作品です。平安時代を舞台に、人と鬼の間に生まれた子の過酷な運命と、それに翻弄される人々の姿を描いた壮大な物語が展開されます。

上演履歴

本作は、過去二度にわたり上演されています。

2000年版

劇団しゅうくりー夢の創立15周年記念公演として制作されました。2000年3月28日から4月2日まで、新宿シアターモリエールにて上演されました。

2010年版

project☆＆p2によって制作されました。2010年3月3日から3月7日まで、笹塚ファクトリーで上演。この公演は、2000年版で共演した田中精氏と佐久間紅美氏が再び挑む形で企画され、タイトルも「汝、知り初めし逢魔が刻に…」と一部改められました。田中氏と佐久間氏は、前作とは異なる役で出演し、他のキャストは一新されています。

あらすじ

物語は平安時代、秋葉の庄を舞台に始まります。美しく舞の得意な娘が深い森で、人間の若者の姿をした鬼と出会い、互いに惹かれ合います。しかし、娘は時の城主から想いを寄せられており、二人の恋は引き裂かれ、娘は城主に嫁ぐことになります。既に鬼の子を宿していた娘は、夜叉丸と名付けられた子を産みます。秋葉城で、若君である景時とその母である奥方から過酷な扱いを受けながら育った夜叉丸ですが、6年後、父である鬼が城に現れ、彼を連れて森へと姿を消します。

それから20年の月日が流れます。成長した景時は、傍若無人な振る舞いと、戦に必要な橋のために里の民を人柱にしたことから、領民から深く恨まれる暴君となっていました。ある嵐の夜、夜叉丸を討つべく森へ向かった景時は、逆に深手を負って倒れます。森で倒れていたところを、里の娘である萱乃、その祖父の勘次郎、そして佐那に助けられますが、目覚めた時には記憶を失っていました。自らの正体に気付かぬ萱乃たちと共に過ごすうちに、記憶を失った景時は本来の暴君とは異なる、心優しい一面を見せ始めます。

登場人物（一部抜粋）

物語を彩る主要な登場人物たちです。

秋葉景時: 秋葉城の城主。かつては暴君として民を苦しめたが、記憶喪失後は穏やかな青年となる。剣の腕は確か。
夜叉丸: 森に住む鬼。秋葉城での辛い過去から景時を憎んでいる。両親との平穏な暮らしを望んでいる。
斯波上月: 山小屋に現れた謎の男。飄々としているが剣術に優れ、帝の命を受けて秋葉の庄にやってきたらしい。
萱乃: 貧しい里の娘。芯が強くしっかり者。記憶を失った景時を助け、彼に惹かれていく。
藤太: 萱乃の幼馴染。喧嘩っ早く情に厚い。景時によって父を失った仇として彼を討とうとしている。
佐那: 勘次郎の孫娘。明るく無邪気な性格で、記憶を失った景時を「シロ」と呼び慕う。
椿御前: かつて鬼と恋に落ちた娘。城主に娶られたが、鬼との契りにより永遠の若さと美しさを保っている。
梶原: 景時の叔父。事態の裏で暗躍し、陰謀を巡らせる黒幕。
萩原由良: 景時の許嫁。幼い頃に森で出会い結婚を約束した少年を想い続けているが、その正体には誤解がある。

他にも、里の若者たちや城に仕える者たち、鬼などが登場し、物語を複雑に織りなしています。

キャスト

2000年版

秋葉景時：坂本薫平
夜叉丸：横井伸明
斯波上月：小川輝晃
萱乃：朝本紗ゆり
藤太：三田哲夫
陣八：田中精
宗介：藤上雄一
樹：ありが薫
勘次郎：針生楊志夫
佐那：原美由紀
椿：林舞希子
梶原：家入賢仁
実之：島田朋尚
京極：有馬定臣
朱理：山本育子
赤名：宮下ひろゆき
萩原由良：松田環
榊：原田治
美緒：佐久間紅美
少年：池田真一

2010年版

秋葉景時：田中精
夜叉丸：おぐらとしひろ
斯波上月/鬼：岩田栄慶
萱乃：那須野恵
藤太：高間慎一郎
陣八：鈴木充範
宗介：篠原一樹
樹：広田さくら
勘次郎：中博史
佐那：松元環季
椿御前：園田綾香
梶原：松浦俊秀
実之：山本卓
京極：湯田昌次
朱理：中野裕理
赤名：前野強
家臣：遊佐邦博
萩原由良：佐久間紅美
榊：谷口洋行
美緒/少女：牛水里美
少年：佐藤信也

※2010年版では、当初椿御前役は森澤碧音氏の予定でしたが、体調不良により降板し、稽古場で代役を務めていた園田綾香氏が起用されました。

スタッフ

2000年版：作・演出 - 松田環
2010年版：作 - 松田環、演出 - 田中精

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