江 姫たちの戦国 (小説)

『江 姫たちの戦国』は、2011年にNHKで放送された大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の原作として、脚本家である田渕久美子が書き下ろした歴史小説です。全17章から構成され、後にソフトカバーの新装版やオーディオブック、漫画版も展開されました。

物語のあらすじ

物語は、織田信長の姪である少女・江が見る不思議な夢から始まります。それは、ある男性の手に赤ん坊の自分が包まれるという夢。その手の持ち主が誰なのか、江には全く分かりません。

江は、姉の茶々（淀）、初と共に、母・市の愛情を受けて育ちます。伯父である織田信長との出会いを通じて、その思想や信念に触れる江でしたが、信長は本能寺の変で命を落とします。その後、母・市は織田家の重臣・柴田勝家と再婚しますが、勝家は羽柴秀吉（豊臣秀吉）との戦いに敗れ、市と共に命を落とします。幼い三姉妹は、仇敵である秀吉の下で成長していくことになります。

数奇な運命に翻弄されながらも、江は二度の結婚と離別を経験した後、関東の大大名である徳川家康の嫡男・秀忠の元へ嫁ぎます。政略結婚で結ばれた二人の関係は当初冷え切っていましたが、慶長伏見地震での出来事をきっかけに、江は秀忠を夫として認め、同時に長年夢に見てきた「手」の正体が秀忠のものであることに気づくのです。

しかし、天下の情勢は、江の嫁いだ徳川家と、長姉・淀が暮らす豊臣家の激しい対立へと向かいます。江の願いも虚しく、徳川家は豊臣家を滅ぼし、淀も自害。江は、その全てを胸に抱き、太平の世を生き抜く決意をするのでした。

主な登場人物

江（ごう）: 物語の主人公。浅井三姉妹の三女で、徳川秀忠の正室となる。
茶々（淀）: 浅井三姉妹の長女。豊臣秀吉の側室となり、豊臣秀頼を産む。
織田信長: 江の伯父。天下統一を目指す。
羽柴秀吉（豊臣秀吉）: 織田信長の死後、天下を掌握する。
徳川家康: 江の夫・秀忠の父。江戸幕府を開く。
徳川秀忠: 江の夫。徳川家康の息子で、江戸幕府二代将軍となる。

書誌情報

小説はNHK出版から単行本と新装版が刊行されています。また、平野啓子の朗読によるオーディオブックも配信されています。

単行本
江 姫たちの戦国 上 ISBN 978-4-14-005570-0
江 姫たちの戦国 下 ISBN 978-4-14-005571-7
新装版
新装版 江 姫たちの戦国 上 ISBN 978-4-14-005594-6
新装版 江 姫たちの戦国 中 ISBN 978-4-14-005595-3
新装版 江 姫たちの戦国 下 ISBN 978-4-14-005596-0

漫画版

暁かおり作画による漫画版も存在し、講談社の漫画雑誌『デザート』とその姉妹誌で連載されました。単行本はKCデラックスから全5巻が刊行されています。

原作：田渕久美子、漫画：暁かおり『江 姫たちの戦国』講談社〈KCデラックス〉、全5巻
ISBN 978-4-06-365635-0
ISBN 978-4-06-376045-3
ISBN 978-4-06-376102-3
ISBN 978-4-06-376139-9
* ISBN 978-4-06-376194-8

『江 姫たちの戦国』は、激動の時代を生き抜いた女性たちの愛と運命を描いた壮大な歴史小説です。大河ドラマと共に、多くの人々を魅了しました。

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