江の島エスカー

江の島エスカーとは

江の島エスカーは、神奈川県藤沢市の江の島にある、上り専用の屋外有料エスカレーターです。江島神社の入り口から江の島の頂上まで、4連のエスカレーターで結ばれており、約5分で到達できます。江ノ島電鉄によって運営されています。

エスカーという名前は、上り専用のエスカレーターであることに由来しています。

構造

エスカーは、3つの区間を4連のエスカレーターでつないだ構造をしており、全長106m、高低差46mです。日立ビルシステムが製造しました。区間ごとに分かれているため、途中で江島神社の辺津宮や中津宮に参拝することも可能です。並行する石段を徒歩で上ると20分かかるところを、エスカーを利用すれば4分で頂上まで到達できます。ただし、エスカーは上り専用のため、下りは石段を利用する必要があります。

1区と2区はトンネル構造を採用しており、景観への配慮がなされています。これは当初、露天での建設を望んでいた江ノ島鎌倉観光（現・江ノ島電鉄）が、建設反対派と妥協した結果です。トンネルは厚さ20cmのコンクリートでできており、内部の壁には広告が掲載されています。

安全点検は、毎日の従業員による点検と、毎月の専門業者による点検の2種類が行われています。2012年からは監視カメラも導入されています。

歴史

1949年、江ノ島電気鉄道の取締役に就任した五島慶太は、鉄道事業だけでは発展性がないと考え、バス事業の再開と観光業への進出を提唱しました。そして、社名を「江ノ島鎌倉観光」に変更しました。観光業への進出の第一歩として、藤沢市が開設した熱帯植物園（現在の江の島サムエル・コッキング苑）の譲渡交渉と、園内に平和塔（現在の江の島シーキャンドル）を建設することを推進しました。1951年には、平和塔を含む植物園が開園しました。

しかし、植物園へ行くには長い石段を上る必要があり、途中で諦めて引き返す観光客が続出しました。また、石段を上らないとたどり着けない江島神社奥津宮や江の島岩屋の参拝者数も減少していました。そこで江ノ島鎌倉観光は、頂上まで楽に到達できるエスカーの建設を計画しました。

建設計画は、文化財保護委員会や地元住民の反対に遭いましたが、当初露天で設置する予定だった計画をトンネル式に変更することで合意を得ました。1959年7月23日、日本初の屋外エスカレーターとして江の島エスカーが開通しました。

エスカーという名前は、当時、上りしかないエスカレーターを「エスカー」と呼ぶことを提案した社員に由来します。江ノ島鎌倉観光は、開通式に神奈川県警察の吹奏楽団を招き、テレビCMを打ち、「江の島エスカーの歌」まで制作しました。

エスカーの設置は成功し、1960年代初頭には、江の島弁天橋の通行客の6割がエスカーを利用したと言われています。奥津宮の参拝者数の回復にも貢献しました。

2010年に1区、2011年に2区と3区がリニューアルされました。2016年には、エスカー乗り場前に、藤沢市が観光客向けに無料Wi-Fiスポットを設置しました。

利用案内

営業時間は9時から19時5分までで、年中無休です。エスカーは、高齢者、家族連れ、カップルなど、幅広い層に利用されており、2015年度の利用者数は85万8千人でした。これは、サムエル・コッキング苑や江の島シーキャンドルの入場者数よりも多くなっています。

1区の乗り場は、チケット販売所だけでなく、各種チケットの発行所や、観光案内所としての機能も備えています。

利用料金

以下は2018年現在の正規料金です。団体割引、障害者割引、一日乗車券割引などがあります。また、開業当初の料金は、大人40円、小人20円でした。

バリアフリー対応

エスカーは上り専用で、幅の狭い箇所があるため、車椅子での利用はできません。藤沢市はバリアフリー化に向けた基本計画を策定し、エスカーのバリアフリー化についても検討しましたが、改修は困難であると判断しました。そのため、市はエスカーの撤去や、車椅子昇降介助機器の導入を検討していますが、実現には課題が残っています。

江の島エスカーを題材とした楽曲

江の島エスカーの歌：1959年に制作されたコマーシャルソング。
江ノ島エスカー：ASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲。
es.car：YUIの楽曲。
踏切シャッフル：クレイジーケンバンドの楽曲。

まとめ

江の島エスカーは、江の島の観光には欠かせない存在です。その歴史を知り、利用することで、江の島の魅力をより深く体験することができるでしょう。

もう一度検索