江上トミ

江上トミの生涯と業績

江上トミ（えがみ とみ、1899年11月19日 - 1980年7月21日）は、日本の料理研究家であり、料理番組の草分け的存在として多くの人々に影響を与えた人物です。彼女は、家庭料理の大切さを広めることに情熱を注ぎました。その理念は「ご家庭の幸せは愛情をこめた料理から」という言葉に現れています。

彼女の背景

熊本県の田浦村で生まれ、6人兄妹の中の六女として育ったトミは、古い伝統を持つ文化的な家庭で成長しました。彼女の祖父は食通でもあり、子供のころから料理に親しんでいました。彼女は熊本高等女学校を卒業後、料理の道を歩むこととなります。

1924年には東京料理学校に入学、その後、フランスのル・コルドン・ブルーでも2年間学びました。海外での経験は、彼女の料理に対する視野を広げ、帰国後に独自の料理スタイルを確立する基礎となりました。

料理教室とメディア出演

1931年、彼女は自宅で料理教室を開始し、次第に著名な料理研究家としての地位を確立していきます。1934年には小倉市で「江上料理研究会」を設立し、福岡市やその他の地域にもその活動を広げます。第二次世界大戦の影響で一時的に活動は縮小しましたが、戦後は特に福岡市を拠点に料理教室を再開しました。

1956年に日本初のテレビ料理番組『奥さまお料理メモ』が放送開始されると、トミはレギュラーとして出演。1957年にはNHKの『きょうの料理』の初期に講師として登場し、全国にその名を広めました。彼女の熊本弁の口調と、暖かい笑顔は視聴者の心をつかみ、愛され続けました。

江上料理学院の設立

彼女の料理に対する情熱は、江上料理学院の設立に結実します。この学院は、次世代の料理家を育成する場として今も続いており、彼女の理念を受け継いでいます。学院は、トミの息子の嫁である江上栄子と、孫の江上佳奈美が引き継いでいます。

店舗や著書

トミは料理教室だけでなく、数多くの著書も残しました。1956年からの『私の料理』シリーズをはじめ、多岐にわたる料理本は家庭での料理文化に寄与し、多くの読者に支持されました。また、テレビ出演や講演活動を通じて、日本国内外での料理の普及に努めました。

最期の時

1980年、トミは心筋梗塞により亡くなりました。享年80歳でした。彼女の貢献は料理界にとどまらず、家庭の食文化の発展に大きな影響を与えています。彼女の姿勢と理念は、現在も多くの人々に受け継がれており、日本の料理界における先駆者としての業績は、未来の世代によっても評価され続けているのです。

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