江別製粉

江別製粉株式会社（えべつせいふん）は、北海道江別市に本社を構える製粉企業です。

概要

同社は、昭和23年（1948年）5月27日、北海道札幌郡江別町（現在の江別市）に設立されました。創業者である初代社長の安孫子安雄氏によって、戦後の食糧難を解消するため、アメリカなどからの食料援助として供給される輸入小麦の政府受託加工事業としてスタートしました。設立当初は輸入小麦の製粉が中心でした。

転機が訪れたのは1970年代頃です。国内での小麦生産量が増加し、北海道でも大規模な生産が行われるようになりました。しかし、当時の北海道産小麦は品質面で必ずしも高い評価を得ておらず、主に外国産小麦にブレンドされて使用されていました。

小麦の主要生産地である北海道に根差す企業として、江別製粉は「北海道産小麦は本当に市場で求められない品質なのか」という疑問を抱き、その可能性を改めて検証する取り組みに着手しました。100%北海道産小麦を使用した製品に対する市場の反応に懸念もあったものの、同社は「食品の安全を第一に考え、身近な食材を安心して食する」という方針を掲げました。この姿勢は消費者からの高い評価を獲得し、その後の事業の方向性を決定づける重要な転機となりました。

特に、北海道産小麦の品種「ハルユタカ」の登場は、「国産小麦でパンを焼きたい」という消費者の強い要望に応える大きな契機となり、世間における国産小麦への見方を変えるきっかけとなりました。以降、同社は小麦生産者や、パン・菓子・麺などを製造する職人といった、小麦を取り巻く様々な立場の人々との連携を深めていきました。

江別製粉は、人々の生活に不可欠な「食」に関わる仕事に従事できることに誇りを感じています。日々の努力を重ね、「良質で、安全、そして廉価な」製品を作り出すことに注力しています。「北海道の豊かな自然」からの恵みを製品に添え、消費者へ届けることを目指しています。

社歴

昭和23年（1948年）5月27日：北海道札幌郡江別町（現在の江別市）にて設立、岩田醸造工場西側建物で小麦粉製造を開始。
昭和26年（1951年）：火災により工場を焼失。現在地へ移転し、工場を再建。
昭和39年（1964年）：製粉工程設備の近代化として、ニューマ方式製粉工場を新設。
昭和43年（1968年）：原料精選工程の近代化を実施。
昭和51年（1976年）：家庭用商品の発売を開始（「おやつイン」など）。
昭和54年（1979年）：本社社屋が完成、併せて立体自動倉庫も完成。
昭和62年（1987年）：自動パン焼き機専用粉を発売。通信販売システムも開始。
平成元年（1989年）：北海道産小麦「はるゆたか」を使用したスパゲティを発売。
平成2年（1990年）：北海道小麦100%商品シリーズの販売を開始。
平成4年（1992年）：株式会社北海道フードプランを設立し、パンの製造販売事業を開始。
平成13年（2001年）：ISO9001認証を取得。
平成15年（2003年）：総合加工工場（包装・小袋ミックス製造ライン）が完成。
平成16年（2004年）：顧客の要望に応じたオーダーメイド小麦粉生産システム「F-ship」が稼働。
平成17年（2005年）：JAS法に基づく有機農産物加工食品業者認定を取得。
平成20年（2008年）：経済産業省主管の「元気なモノ作り中小企業300社2008」に選定される。
平成22年（2010年）：ISO9001:2008への移行審査に合格。原料調質工程設備の更新を実施。
* 平成26年（2014年）：研究開発体制強化のため「北の小麦未来まき研究所」を新設。

主な販売品目

同社では多岐にわたる小麦粉および関連製品を取り扱っています。北海道産小麦を使用した製品としては、単一品種による特徴を活かした小麦粉、パン用粉、生地改良剤配合品、菓子用粉、麺用粉、中華麺用粉、そして全粒粉などがあります。また、北海道産のライ麦粉も製造しています。

外国産小麦を使用した製品群も展開しており、パン用粉、麺用粉、そばつなぎ粉、餃子皮用粉、中華麺用粉、菓子用粉、ミックス粉などが含まれます。

さらに、強力粉や薄力粉といった基本的な小麦粉、全粒粉、各種ミックス粉、その他の小麦加工品・関連商品も幅広く提供しています。

これらの製品を通じて、消費者の多様なニーズに応えながら、安全で高品質な食を提供し続けています。

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