江北作戦

江北作戦

江北作戦（こうほくさくせん）は、日中戦争が激化した1941年5月に中国の湖北省で行われた、日本軍と中国軍との間の戦闘を指します。この作戦は第11軍によって計画され、実戦訓練も兼ねる短期的な作戦として位置付けられました。

背景

1941年の初め、第11軍はその傘下の軍団に対して、夏から秋にかけての「長沙作戦」に向けた教育訓練を行うよう指示していました。それに応じて、第3師団は訓練目的を含む戦闘作戦を5月に実施する計画を上司に提出しました。この提案は第11軍に受け入れられ、同年5月8日に予定されていた中原会戦に連動する形も考慮されました。

作戦の実施

第3師団は当初、「鄂北作戦」という名称で準備を進めていましたが、後に第11軍の指示により「江北作戦」と名付けられました。計画の中では、5月6日に応山から北西へ軍を進め、5月10日に環潭鎮で包囲を開始しました。しかし、中国軍の第22集団軍は迅速に退避戦術を取り、棗陽の方向へと撤退しました。

続いて、5月8日には第4師団、5月9日には第39師団、さらに独立混成第18旅団がそれぞれの進撃を行い、中国軍に対して攻撃を仕掛けました。これにより、5月12日には反転を開始し、15日には元の戦闘態勢へと戻りました。

結果と影響

その後、第3師団は退却した第22集団軍を追撃し、15日には棗陽を占領します。17日には棗陽南方で重大な打撃を与え、21日には第55軍を撃破しました。最終的に、第3師団は22日にアッパーガッターマスタジアに帰還しました。

しかし、中国軍は日本軍の動きに従い、作戦開始前の状態に戻りました。戦果は期待されたほど大きくなく、また江北作戦が行われた地域と中原会戦との距離が300〜400キロもあったため、結果として中原会戦に影響を与えることには至りませんでした。この作戦における日本軍の損失は戦死115人、戦傷375人でした。

参加部隊

日本軍

• - 第11軍（軍司令官：阿南惟幾中将）

- 第3師団（師団長：豊嶋房太郎中将）
- 戦車第7連隊主力、戦車第13連隊の一部、砲兵隊などを配属
- 第4師団（師団長：北野憲造中将）
- 第39師団（師団長：村上啓作中将）
- 独立混成第18旅団（旅団長：堤不夾貴中将）
- 第3飛行団の一部（直協1隊）

中国軍

• - 第5戦区（司令長官：李宗仁）

- 第22集団軍（総司令：孫震）
- 第55軍など

参考文献

• - 防衛庁防衛研修所戦史室 『支那事変陸軍作戦（3）昭和十六年十二月まで』 朝雲新聞社〈戦史叢書〉、1975年。362-364ページ。

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