江南作戦

江南作戦

江南作戦（こうなんさくせん）は、日中戦争の最中に展開された日本軍の軍事作戦であり、1940年（昭和15年）10月に安徽省と江蘇省の境界付近で行われました。この作戦は、主に第13軍が占領地の安定を目指して、中国第3戦区軍の撃破を狙ったものでした。

概要

1940年5月以降、第13軍は宜昌作戦のために兵力の一部を抽出されており、占領地域の確保に向けた積極的な行動が困難でした。しかし、7月末から秋にかけて、宜昌方面からの部隊が帰還することで、占領地域の周囲に対して作戦を進めることが可能となりました。その結果、第13軍は江南三角地帯（上海、南京、杭州を結ぶ地域）での安定を確保するために、第三戦区軍に対して壊滅的な打撃を与える計画を立てました。

第15師団はこれに先立ち、荻港に集結して準備を整え、10月5日に作戦地域への前進を開始しました。10月7日夜には涇県を占領しました。その翌日、攻勢の起点である宣城へと前進し始めましたが、涇県の東6キロ地点に到達した際、前面には約1万の中国軍が展開していました。こうした状況の中で、第15師団の前進は遅れ、 casualtiesも増加していきました。

激戦

急に後方から激しい銃声が響き、前夜に占領した涇県周辺には新しい中国軍部隊が現れ始めました。この部隊は、新四軍と第25軍からなる約1万の大隊で、西からと東から包囲網を狭めてきました。そのため、狭い地域で約2万の敵軍に包囲された第15師団は、激戦の末、10日夜に陰を利用して脱出し、13日に宣城へ到達することができました。

その後、第13軍は引き続き作戦を進め、作戦の一環として第15師団、第17師団、独立混成第11旅団は三州山系において第3戦区軍を掃討しました。また、第22師団は富陽、紹興、諸曁地域の第86軍を覆滅しました。これにより、各部隊は10月末までにそれぞれの原駐地へ帰還しました。

作戦結果

中国軍の総兵力は約10万と推定され、この作戦によって第13軍は大きな成果を挙げたと報告しました。「（第3戦区軍に）甚大なる打撃を与え、目的を達成した」とされています。しかし、功績に対する評価は分かれました。大本営戦史部長の石割平造中佐は、広範な地域で少数の戦力で作戦を展開したため、満足な成果が上がらなかったと指摘しています。また第15師団が涇県付近で中国軍に包囲されたことは、中国側に「日本軍を誘致して撃滅した」として宣伝材料を与える結果になったとされています。

参考文献

この作戦に関する詳細は、『支那事変陸軍作戦（3）昭和十六年十二月まで』（防衛庁防衛研修所戦史室、朝雲新聞社、1975年）で確認できます。376-377頁に記載されています。

関連項目

江南作戦の終了から約2ヵ月後には、皖南事変が発生し、第15師団が涇県付近で新四軍の攻撃を受ける結果となりました。

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