宜昌作戦

宜昌作戦について

宜昌作戦（ぎしょうさくせん）は、1940年5月から6月にかけて湖北省で行われた日本軍の戦闘作戦です。この作戦は、日中戦争の最中、日本の第11軍が中国軍第5戦区軍を撃破し、重慶を直接脅かすことを目指したものであり、中国側では「棗宜会戦」と呼ばれています。

背景

1940年の初め、中国軍は前年末から冬季攻勢を展開しており、これを受けて日本軍は宜昌方面への強力な反撃作戦を計画しました。宜昌が選ばれた理由は、李宗仁が指揮する第5戦区軍への直接的な攻撃の他、重慶政府との和平交渉を促進するために必要な兵力削減を目的としたからです。宜昌は重慶から約480キロと近く、交通の要所でもあり、海上輸送の中継地としても重要でした。

1939年12月には、冬季攻勢によって勢いづいた中国軍が次の反撃に備えて整訓を整え、新たに多くの師団を編成していました。また、日本軍も第5戦区軍の活動を警戒し、慎重に進撃を進めていました。

参加兵力

日本軍は約8万人規模の第11軍を投入し、その中には数つの師団や支隊が含まれました。具体的には、第3師団、第13師団、第39師団に加え、支隊として石本、池田、小川、吉田の各支隊が編成され、中国軍の不利を狙っていました。

中国側では、李宗仁上将が指揮する第5戦区軍、さらにいくつかの集団軍を合わせ、総兵力は約35万人に達しました。このように、両軍の兵力差は大きく、熾烈な戦闘が予想されました。

戦闘の経過

作戦は5月1日から始まり、初期の段階では日本軍は順調に進撃を続けました。特に漢水支流の唐白河周辺での包囲態勢を整え、中国軍に対して優位に立つことを図ります。しかし、中国軍も前年の経験を生かし、迅速に動きながら日本軍の動向を注視し、反撃態勢を整えていました。

5月10日、中国軍は日本軍の動きを追撃し、いくつかの地で激しい衝突が発生します。特に、戦力を集中させた第33集団軍との接触で、思わぬ損害を被ることになります。この接触で、日本軍は指揮官の戦死を含む多くの傷害を受ける一方で、中国軍も大きなダメージを負っています。

5月19日、日本軍は中国軍を棗陽に誘い込み、一斉攻撃を仕掛けます。この攻撃により、多くの敵兵力を壊滅させることに成功しましたが、その後の白河渡河戦では大きな犠牲を伴いながらも、渡河を果たそうとした日本軍の士気が試されることになります。

作戦の結果と影響

最終的には、6月12日に宜昌が完全に日本軍によって攻略されますが、直後に日本軍は多大な犠牲を払い、物資の損失も経験することとなります。戦闘を通じて、遺棄死体や捕虜数は膨大であり、日本軍は精神的にも物的にも大きな打撃を中国軍に与えました。

しかし、宜昌の占領がもたらした影響は、日本軍にとって一過性のものに過ぎず、その後の方針変更が迫られます。再占領を果たしたものの、得られた物資や有用なインフラは多くが失われ、その後、駐屯する日本軍は多くの困難に直面することになります。

この作戦を受けて、中国側では動揺が広がり、重慶政府内での対立が激化したとも言われています。宜昌作戦における日本軍の勝利は、当時の国民政府にとって非常に大きな脅威となりました。

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