江口寿史のなんとかなるでショ!

江口寿史のなんとかなるでショ!

『江口寿史のなんとかなるでショ!』（えぐちひさしのなんとかなるでショ!、NANTOKA NARUDESHO!）は、1989年に角川書店から発売された江口寿史によるギャグ漫画の短編集です。これは江口の復活を描いた作品ともされ、特に彼自身が装幀やレイアウトに関与した点が特徴的です。記事では主に短編集に焦点を当てており、オリジナルビデオ作品に関する情報も盛り込まれています。

概要

本作は、前作『寿五郎ショウ』から2年ぶりの単行本で、江口にとって3冊目となる短編集です。『月刊ASUKA』で連載された本作の表題作を中心に、1985年から1988年にかけて発表された短編が収録されています。いくつかの用語解説や編集者の座談会も含まれ、独特の構成になっています。また、同人作品である杏樹や紫苑による作品も収められています。

江口は連載から離れ、自由な創作活動を通じて独自の実験的な手法を模索しています。特に『なんとかなるでショ!』は、彼のギャグスタイルを集中的に発揮した作品群であり、その後の『江口寿史の爆発ディナーショー』などと共に「ショー三部作」と称されています。

作品の背景

江口は過去に遅筆で知られ、帯に記された「江口寿史、今世紀最後の単行本!? 日本一の遅筆野郎が、2年半の歳月をかけてついに完成!!」という文言は、当時の状況を物語っています。ただし、連載中には一度だけ原稿を落としただけでした。1990年にはこの作品がオリジナルビデオ化され、それに関するメイキング本『なんとかなったワケ!』もリリースされています。

短編集の構成

短編集は複数の部に分かれており、その中心にある「第一部 なんとかなるでショ!」では、全20話が収録されています。各話は基本的に1話完結で、扉ページには懐かしいキャラクターの肖像が描かれています。

トーマス兄弟シリーズ

トーマス兄弟シリーズには、双子の兄弟が主役の『トーマス兄弟にザンゲの値うちはあるのか?』や『トーマス兄弟の逆襲』があります。彼らの懺悔がエスカレートする様子は、江口の名物キャラクターとして認知されるきっかけとなりました。

地獄少年・うしみつくんシリーズ

うしみつくんシリーズでは、主人公のうしみつくんが日々のストレスを呪いで晴らす様子を描き、シリーズ全体で彼の暗い性格と運の悪さが強調されています。

ATTACK OF LOVE

本作では、ラブコメの定番な出会いを逆手に取ったギャグが展開され、作者自身のユーモアが光る内容となっています。また、彼女の通学での恋愛を描く『彼女は毎朝、東西線で』は、シリアスな要素も含みつつ、独特のギャグ感が見受けられます。

終章および関連背景

短編集は「ハイ、それまでョ!」と題した章で締めくくられ、江口自身のあとがきを通じて自己認識や制作過程について触れられています。また、作中用語の解説は、当時のサブカルチャーを理解する手助けとなります。

結論

江口寿史の『なんとかなるでショ!』は、革新的なギャグが盛り込まれた作品であり、彼の独特のスタイルと創作活動を楽しむには最適な短編集です。ビジュアルも豊かで、さらには江口自身の独特な視点を通じて描かれたキャラクターたちの魅力が感じられる一冊です。

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