江口真紀

江口真紀は、1978年10月14日に愛知県名古屋市で生まれ、熊本県水俣市で育った元プロバスケットボール選手である。身長182cmの恵まれた体格を活かし、主にセンターポジションで活躍した。彼女のキャリアは、度重なるチーム移籍、怪我、そして引退と現役復帰を経験したことから、「苦労人」としても語られることが多い。特に、2004年のアテネオリンピックにはバスケットボール女子日本代表として出場し、国際舞台でプレーした経験を持つ。

バスケットボールとの出会いは、地元の水俣市立第二中学校時代に遡る。高校は九州女学院高校（現・東海大学付属熊本星翔高等学校）に進学し、ここでもバスケットボール部で頭角を現した。高校卒業後の1997年、当時の実業団バスケットボールリーグの有力チームの一つであった三洋電機に入団し、プロ選手としての第一歩を踏み出した。三洋電機では、1997年から2000年までの3シーズンにわたりプレーしたが、チームの休部という事態に直面する。

チーム消滅の危機を乗り越え、2000年には日立戸塚（後に日立武蔵）へ移籍。ここでも2年間プレーし、リーグでの経験を積んだ。そして2002年、国内女子バスケットボール界を代表する名門クラブであるシャンソン化粧品シャンソンVマジックへ活躍の場を移す。シャンソン時代は、彼女のキャリアにおいて最も充実した時期と言えるだろう。チームの中心選手としてインサイドを支え、その存在感を発揮した。この活躍が認められ、2004年にはアテネオリンピックに出場するバスケットボール女子日本代表メンバーに選出されるという栄誉に浴した。オリンピック本番では、強豪国を相手に奮闘する日本代表の一員として貴重な経験を積んだ。また、オリンピックイヤーとなった2004-05シーズンには、所属するシャンソンがWリーグ（当時のトップリーグ）で優勝を果たし、江口真紀はそのタイトル獲得に大きく貢献した選手のひとりとなった。

シャンソンでの成功を収めた後、2005年に三菱電機に移籍した。新たな環境でキャリアを続けることを選択したが、チームは経営状況の変化などもあり、Wリーグから下部リーグであるW1リーグへの降格を経験するなど、厳しい状況に置かれた。さらに、江口自身も現役選手にとって最も避けたい怪我に悩まされるようになる。度重なる故障はプレーの継続を困難にし、2007年にはプロバスケットボール選手としてのキャリアに一度、区切りをつけることを決意し、現役から退いた。

しかし、バスケットボールへの熱い想いは消えることはなかった。コートを離れてからわずか数ヶ月後の2007年、再び現役選手として復帰することを決断する。そして2007-08シーズンには、以前所属していた三菱電機に再び加わり、コートへ戻ってきた。翌2008年には、愛知県を拠点とするアイシン・エィ・ダブリュ ウィングス（現・アイシン ウィングス）に移籍。ここでもトップリーグであるWリーグの舞台でプレーを続けた。しかし、体力的、精神的な負担も考慮し、2009年、プロ選手としてのキャリアに終止符を打つことを決意。これが二度目の引退となった。

江口真紀は、1978年生まれの、いわゆる「花の78年組」と呼ばれる世代の一人である。この世代は、女子バスケットボール界において多くの才能ある選手を輩出しており、互いに刺激し合いながらレベルアップしてきたと言えるだろう。センターとして、リバウンドやポストプレー、そしてディフェンスでチームに貢献し、特に日本代表として世界の舞台で戦った経験は貴重である。実業団5チームを渡り歩き、二度の引退と一度の現役復帰を経て、長きにわたり日本の女子バスケットボール界でプレーし続けた彼女のキャリアは、その粘り強さとバスケットボールへの深い愛情を示すものと言えるだろう。水俣市出身のオリンピアンとしても、地元のバスケットボールファンに大きな希望と感動を与えた存在である。

主な所属チーム経歴は以下の通り。

九州女学院高等学校
三洋電機（1997年 - 2000年）
日立戸塚（2000年 - 2002年）
シャンソン化粧品（2002年 - 2005年）
三菱電機（2005年 - 2007年、2007年 - 2008年）
アイシン・エィ・ダブリュ（2008年 - 2009年）

もう一度検索