江干区

江干区（こうかん-く）は、中華人民共和国浙江省杭州市にかつて存在した市轄区の一つである。その名称である「江干」は、文字通り「川のほとり」や「大きな河辺」、「河岸」といった地理的な意味合いを持つ。

歴史

この地域は、清朝末期には現在の江干区にあたる範囲が、銭塘県と仁和県という二つの県に分けられていた歴史を持つ。それぞれの県においては、江干郷あるいは会堡郷といった区分で呼ばれていた。

清朝が終焉を迎え、中華民国が成立する直前の1911年（宣統3年）には、従来の銭塘県と仁和県は廃止され、代わりに杭州府の直接的な管轄下に置かれる行政的な変更が行われた。続く1912年（民国元年）2月には、府制そのものが廃止されたことに伴い、新たに杭県が設置されることとなり、江干地区もこの新しい杭県の管轄下に移管された。

さらに時代が進み、1927年（民国16年）5月には、独立した行政単位としての杭州市が正式に誕生した。同年10月には、杭州市内に初めて区制が導入され、この時、江干区を含む合計6つの区が新たに設けられる運びとなった。

しかし、この区制が確立されてからわずか3年後の1930年（民国19年）8月には、杭州市の行政区画が13区へと大規模に改編される変更が実施された。この再編により、元の江干区は分割され、第8区および第9区という二つの区に再編成された。その後、1934年（民国23年）3月に行われたさらなる行政区画の整理において、これら分割されていた第8区と第9区は再び統合される形で、「第5区」と名称が改められた。

第二次世界大戦後、国共内戦を経て、1949年（民国38年）5月3日に中国共産党が杭州市を実効支配下に置くと、それまで「第5区」として知られていた地域は、再び元の名称である「江干区」へと改称された。この改称以降、江干区は長らく杭州市の市轄区としてその存在を維持したが、その後の中国における行政区画の再編成により廃止されることとなる。

行政区画

江干区が存在していた時期の行政区画として、以下の街道が含まれていた。

凱旋街道
采荷街道
閘弄口街道
四季青街道
白楊街道
下沙街道
彭埠街道
筧橋街道
丁蘭街道
九堡街道

これらの街道は、かつての江干区を構成する主要な行政単位であった。

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