江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書

江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書

「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」は、1868年（慶応4年）9月3日、明治天皇によって発布された詔勅です。この詔勅は、天皇が江戸で政治を行うことを宣言し、同時に江戸の地名を「東京」と改めることを定めました。この詔勅は、日本の首都が京都から東京へ移行する上で重要な役割を果たしました。

詔書の名称と通称

この詔書には、一般の詔勅と同様に正式な名称は存在しません。便宜上、「江戸ヲ東京ト改称ノ詔」や「江戸ヲ称シテ東京ト為スノ詔書」などの名称が用いられています。

また、「東京奠都の詔」という通称は、後年になって使われるようになったと考えられています。文部省が編纂した『概観維新史』では、この詔を「東京奠都の詔」と呼んでおり、1872年の英照皇太后の東京への移住をもって事実上の東京遷都と解釈しました。一方、『維新史』では「車駕東幸の詔書」と称し、この詔が奠都を公表するものではないと解釈しています。

しかし、1885年頃に編纂された『太政官沿革志』では、天皇の東京入城を「奠都」の契機としており、「奠都」という語自体は早くから使われていたことが分かります。平安遷都も「平安奠都」と呼ばれることがあります。

内容

この詔書は、本文と副書から構成されています。

本文

本文では、天皇が自ら政治を執り行うこと、そしてその拠点として江戸が相応しいことが述べられています。また、江戸を「東京」と改称することで、国の東西を同一視する意図が示されています。以下が現代語訳です。

私は、今政治に自ら裁決を下すこととなり、全ての民をいたわっている。江戸は東国で第一の大都市であり、四方から人や物が集まる場所である。当然、私自らその政治をみるべきである。よって、以後江戸を東京と称することとする。これは、私が国の東西を同一視するためである。国民はこの私の意向を心に留めて行動しなさい。

副書

副書では、天皇が東京で政治を執り行うことの意義について述べられています。具体的な内容は、詳細な資料によって確認が必要です。

詔書の発見

2010年5月には、広島県廿日市市の海の見える杜美術館で、この詔書の草稿が発見されました。この発見は、詔書成立過程の研究にとって重要な資料を提供しました。

関連事項

この詔書は、明治維新、日本の首都、東京奠都、東京行幸などの歴史的な出来事と深く関連しています。

明治維新

明治維新は、日本の近代化を推し進めた重要な改革であり、この詔書もその一環として位置づけられます。

日本の首都

この詔書によって、日本の首都機能が京都から東京へと移されました。これにより、東京は政治、経済、文化の中心地として発展していくこととなります。

東京奠都

東京奠都とは、天皇が東京に都を定めることを意味します。この詔書は、奠都の過程における重要なステップとなりました。

東京行幸

東京行幸とは、天皇が東京へ行くことを意味します。この詔書の発布は、天皇の東京への行幸を促し、首都機能の移転を加速させました。

外部リンク

• - 江戸を東京と定める - 国立公文書館

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