江戸家猫八 (3代目)

3代目江戸家猫八（岡田六郎）の人物概要

3代目江戸家猫八は、1921年に生まれた物真似師、俳優であり、落語芸術協会に所属していました。彼の本名は岡田 六郎で、愛称は「江戸猫」として親しまれていました。彼の家族には、初代江戸家猫八や吉祥寺の落語家、三遊亭歌司など、落語界で活躍した人物が多くいます。

幼少期と家族背景

父は初代江戸家猫八。彼自身も落語家の家系に育ち、長女は落語家三遊亭歌司と結婚し、四代目江戸家猫八は彼の兄にあたります。猿飛佐助としても知られる三女に至るまで、家族全員が芸能界で活躍しました。猫八は、自身の芸のルーツを深く持ちながら成長しました。

軍歴と戦後の活躍

1940年、猫八は古川緑波一座に入団し、俳優としての道を歩み始めますが、1942年、召集令状が届き南方戦線に赴くことになりました。特に1945年の広島での原爆の投下は彼の人生に大きな影響を与えました。彼の体験談には、この時の拒否できない非情な現実が色濃く描かれています。

原爆の投下当日、宇品の陸軍船舶砲兵第1連隊に所属していた猫八は、朝の点呼に遅刻したことで、友人で女優の園井恵子と会うことができず、自らは原爆の直撃を免れましたが、彼の心には戦争の痛ましい記憶が刻まれました。その後、彼は救援活動に従事し、放射線に被曝したものの、彼の被爆体験は長い間語られずにいました。しかし、時が経つにつれ、そのトラウマと向き合うこととなり、著書「兵隊ぐらしとピカドン」や「キノコ雲から這い出した猫」で自身の体験を語ることになります。

芸歴と受賞歴

1950年には、父の弟子である2代目猫八からの勧めを受けて、父の物真似芸を受け継ぎ、寄席修行を行い3代目猫八として活動を開始します。その後、1956年からはNHKの「お笑い三人組」に出演し、名を馳せます。彼は、彩り豊かなテレビドラマや映画にも出演し、多様なキャリアを築きました。

1980年代には、文化庁芸術祭で優秀賞を受賞し、その後も紫綬褒章、勲四等旭日小綬章など数々の栄誉を受けるなど、彼の功績は多岐にわたります。

晩年と影響

2001年、80歳で亡くなるまで、彼は日本の芸能界に多大な影響を与え続けました。特に、演技や物真似の才能に恵まれた彼は、数々の作品に携わりながら、熊本や広島といった地元愛を持ち続け、常に人々の心をつかんでいました。彼の築いた伝統と技術は次世代に影響を与えています。

家庭とプライベート

私生活において、猫八は実は猫が苦手で、家族の猫を迎えることに反対した時期もありました。しかし、時が経つにつれ、彼も新たな家族を持つことになりました。彼を支えてきた家族との絆も、彼の人生の大きな柱であったことは間違いありません。

3代目江戸家猫八の人生は、彼自身の創作活動に止まらず、戦争の悲劇を乗り越え、芸術を通じてやっと語り得る存在へと彼を変えていったのでした。

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