江東劇場

江東劇場：昭和のエンタメを彩った劇場

江東劇場は、かつて東京都墨田区江東橋に存在した劇場です。1937年に江東楽天地という総合レジャー施設内に開館し、演劇と映画の両方を楽しめる場として、多くの人々に親しまれました。

開館と戦前の隆盛

1937年、東京宝塚劇場の社長であった小林一三によって江東楽天地が設立され、その目玉施設として江東劇場が誕生しました。同時期に開館した本所映画館とともに、定員1500人を誇る大規模な劇場として注目を集めました。江東劇場では、演劇と映画の両方が上演され、東宝劇団による記念公演や、若手俳優による新興劇などが人気を博しました。しかし、第二次世界大戦の戦火により、1945年に焼失してしまいます。

戦後の復興とスターの誕生

戦後、江東劇場は1946年に再建され、松竹・大映作品の上映館として再出発しました。また、宝塚歌劇団の公演も行われるなど、再び活気を取り戻します。特に、江東劇場は新人歌手の登竜門として知られ、フランク永井、三橋美智也、島倉千代子など、数々のスター歌手を輩出しました。美空ひばりが初出演した際には、記録的な動員数と興行収入を記録し、彼女はその後も常連として、劇場を盛り上げました。

江劇ビルへの移転と閉館

1963年には江劇ビルが建設され、江東劇場もその中に移転しました。新たな劇場は映画館として、主に東宝作品を上映していましたが、1983年に単独施設としての歴史に幕を閉じました。

楽天地ビル内の映画館として

その後、楽天地ビル内に複数のスクリーンを持つ映画館が開業し、そのうちの一つに「江東劇場」の名前が引き継がれました。しかし、1999年には錦糸町シネマ8楽天地として統合され、「江東劇場」の名は消滅しました。

江東劇場は、昭和の時代に演劇や映画、そして歌謡界を彩った劇場として、多くの人々の記憶に残っています。その歴史は、日本のエンターテイメントの発展と深く結びついており、今もなお語り継がれています。

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