東京都江東区が運営する
公共図書館群です。区内に11の図書館と枝川図書サービスコーナーを持ち、江東図書館や歴史ある深川図書館を中心に、地域住民の学びや文化活動を支える重要な役割を担っています。
歴史
江東区立図書館としての歩みは、
1947年(昭和27年)4月の
江東区成立時に、
東京都から都立深川図書館の管理が移管されたことに始まります。この深川図書館は、さらに古い歴史を持ち、
1909年(明治42年)に
東京市が開設した
東京市立深川図書館が前身です。
関東大震災で焼失しましたが、
バラックでの応急再開を経て、
1928年(昭和3年)に鉄筋コンクリート造で再建されました。
1950年(昭和25年)には
江東区立深川図書館と改称され、
図書館法の施行に伴い、
1951年(昭和26年)からは利用が無料となりました。
深川図書館に続き、区内の図書館網は拡大します。城東地区住民の要望に応え、
1955年(昭和30年)には城東図書館が開館。その後も図書館条例制定(
1970年)を経て、白河分館(現白河こどもとしょかん)、
亀戸、東陽、
豊洲、砂町、東大島、東雲、古石場といった図書館が順次開館していきました。
特筆すべきは江東図書館の設立経緯です。これは、いわゆる「東京ゴミ戦争」において、
東京都のごみ
最終処分場を
江東区に設置する見返りとして都が建設を約束したもので、
1976年(昭和51年)に
東京都立江東図書館として開館し、
1986年(昭和61年)10月に
江東区に移管されました。
かつては自動車文庫「しおかぜ号」による巡回サービスも実施(
1970年~
1993年)。近年は施設の改修やリニューアルが進められ、一部図書館では指定管理者制度が導入されています。深川図書館の改修休館(2021年末~2023年予定)や、白河こどもとしょかんの閉館(
2022年)といった動きも見られます。
主な施設
江東区立図書館の中でも代表的な存在である深川図書館と江東図書館を中心に、いくつかの館を紹介します。
清澄公園・庭園近くに位置し、100年以上の長い歴史を持つ図書館です。現在の建物は
1993年(平成5年)に改築された鉄筋コンクリート造3階建てで、
レトロな外観が特徴です。館内には児童コーナーや閲覧室のほか、郷土資料室があり、江戸期からの
江東区地域の古地図や
浮世絵などを所蔵し、地域の歴史に関する調査に対応しています。行政資料としては、昭和期までの
江東区に関連する資料が保管されています。
南砂地区の住宅街にあり、延床面積・蔵書数ともに区立図書館の中で最大規模を誇る中央館です。元々は「東京ゴミ戦争」に関連し、
東京都が建設した施設という特別な経緯を持ちます。鉄筋コンクリート造4階建てで、館内には一般図書のほか、視聴覚資料やインターネット端末、PCコーナーなどを備えています。特に3階には
学童集団疎開資料室が設けられており、第二次世界大戦中の学童
疎開に関する手紙や写真、文書などが展示され、当時の体験や記憶を後世に伝えています。行政資料としては、平成以降の
江東区関連資料を保管しています。
その他の図書館
江東区立豊洲図書館:
豊洲駅前の
豊洲シビックセンター内にあり、区内最多の来館者数を誇ります。
2015年に現在の場所へ移転しました。
江東区立東陽図書館: 東陽町駅からほど近く、区内でも利用頻度の高い図書館の一つです。
1985年に設立されました。
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江東区立東雲図書館: 東雲のトミンタワー内に設けられた比較的新しい館で、閲覧席や対面朗読室などを備えています。1997年開館。
利用案内・サービス
江東区立図書館は、どなたでも自由に入館して資料を閲覧することができます。資料を借り出す(館外貸出)には、利用登録を行い貸出カードを作成する必要があります。利用登録ができるのは、
江東区内に在住・在勤・在学している方のほか、近隣の中央・港・品川・墨田・葛飾・足立・
江戸川区に在住している方です。
貸出可能な資料は、図書・雑誌が合わせて20冊まで、CD・カセットが合わせて5点まで、DVD・ビデオがどちらか1点までとなっています。貸出期間は全て2週間以内で、次に予約が入っていない資料に限り1回のみ延長が可能です。
開館時間や休館日は各館によって異なりますが、多くの館は平日・土曜が午前9時から午後8時まで、一部館は午後9時まで開館しています(日曜・休日・12月28日は午後7時まで)。共通の休館日は年末年始(12月29日~1月4日)、館内整理日(毎月第3金曜日など)、特別整理期間です。古石場図書館と砂町図書館はこれに加え、毎月第1月曜日と第3月曜日も休館日となります。
基本的な資料貸出・閲覧サービスのほか、資料に関する調査相談(
レファレンスサービス)、学校や地域団体などへの団体貸出サービス、図書館への来館が困難な方への配本サービスなども実施しています。