江都公主 (明)

江都公主は、明朝の皇族であり、懿文太子朱標の嫡出長女として生まれました。彼女は、後の建文帝の嫡姉（異母姉）にあたります。

彼女の生年は不明ですが、母は太子妃常氏です。当初、江都郡主の位を授けられ、洪武27年（1394年）に長興侯耿炳文の長男である耿璇と結婚しました。その後、建文元年（1399年）に公主の位を授けられました。

江都公主の夫、耿璇は建文帝に忠誠を誓い、燕王朱棣（後の永楽帝）を粛清するように強く主張しました。しかし、この行動が後に大きな悲劇を招きます。永楽帝が即位すると、耿璇の言動は彼を激怒させ、永楽元年（1403年）、耿璇とその一族は処刑されてしまいました。

江都公主自身もこの事件に巻き込まれ、郡主に降格させられました。そして、間もなく急死するという悲劇的な最期を迎えました。彼女の死因や詳しい状況は記録されていませんが、夫の処刑との関連性を示唆する記述が残っています。

南明時代に入り、弘光元年（1645年）に江都公主の名誉は回復され、公主の位を追贈されました。これは、彼女の悲劇的な死と、夫の忠誠心が南明政権によって再評価された結果と考えられます。

彼女の生涯を記録した史料としては、『東宮妃常氏墓志』、『常氏家譜』、『明成祖実録』などが挙げられます。これらの史料から、彼女が明朝初期の政治的な混乱に巻き込まれ、悲劇的な運命を辿ったことがわかります。

江都公主の生涯は、明朝初期の複雑な皇位継承争いと、それに翻弄された人々の悲劇を物語る一例と言えるでしょう。彼女の人生は、歴史の中で忘れ去られることなく、後世に語り継がれるべき物語です。

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