江間章子

江間章子：昭和を彩った詩と歌

江間章子（えま しょうこ、1913年3月13日 - 2005年3月12日）は、昭和の時代に数々の名曲の作詞を手がけた詩人です。彼女の作品は、世代を超えて多くの人々に愛され続けています。

生涯

江間章子は新潟県高田市（現在の新潟県上越市）で生まれましたが、幼少期に父親を亡くし、母の実家がある岩手県岩手郡平館村（現在の八幡平市平舘）へ移り住みました。その後、静岡高等女学校へ進学。この頃から詩作に興味を持ち始め、『詩と詩論』などの文芸誌から影響を受け、作詞家を志すようになりました。

上京後、駿河台女学院（後の東京YWCA専門学校）へ進学。1936年には自費出版で詩集『春への招待』を発表し、詩人としての第一歩を踏み出しました。

戦後、1949年にNHKラジオ歌謡で発表された「夏の思い出」は、彼女の代表作として広く知られるようになりました。1951年には「花の街」をNHK「婦人の時間」で発表し、その美しい旋律と歌詞は多くの人々の心を捉えました。

江間章子は、百田宗治が主宰する雑誌『椎の木』の同人となり、三好達治や草野心平といった詩人たちとも交流を深めました。1972年には北朝鮮を訪問し、その滞在記が『別冊週刊読売「チュチェの国―朝鮮」』に掲載。また、同年には詩「金日成首相は地球の上のともしび」を朝鮮画報社から出版された『万寿無疆』に発表しています。

1990年にはフジテレビの番組『一枚の写真』に出演。1992年には東京都世田谷区、1995年には岩手県西根町（現・八幡平市）、1998年には群馬県片品村の名誉区民、名誉町民、名誉村民にそれぞれ選定されました。

2005年3月12日、脳内出血のため東京都世田谷区の病院で逝去。92歳の誕生日を迎える前日でした。

主な作詞作品

江間章子は数多くの歌曲、校歌の作詞を手がけています。以下に代表的な作品をいくつか紹介します。

歌曲
夏の思い出（作曲：中田喜直）
おかあさん（作曲：中田喜直）
花の街（作曲：團伊玖磨）
花のまわりで（作曲：大津三郎）

校歌
岩手大学教育学部附属小学校校歌（作曲：中田喜直）
川越市立高階北小学校校歌（作曲：團伊玖磨）
世田谷区立尾山台中学校校歌（作曲：古関裕而）
足立区立西新井中学校校歌（作曲：團伊玖磨）
横浜市立左近山第一小学校校歌（作曲：中田喜直）
北杜市立須玉小学校校歌（作曲：中田喜直）
四国中央市立三島東中学校校歌（作曲：中田喜直）

著作

江間章子は詩作だけでなく、詩に関する評論やエッセイ、紀行文など、幅広いジャンルの著作を執筆しました。

『詩へのいざない : 現代詩の理解と作法』柴田書店 1957
『人生の詩集』二見書房 1968
『詩画集 : 花の四季』東京新聞出版局 1979
『イラク紀行 : 江間章子詩集』沖積舎 1983
『「夏の思い出」その想いのゆくえ』宝文館出版 1987
* 『江間章子全詩集』宝文館出版 1999

江間章子の作品は、日本の歌謡史、文化史において重要な位置を占めています。彼女の詩と歌は、これからも人々の心に深く響き続けることでしょう。

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