池上裕次

池上裕次：戸田を制した「戸田天皇」

池上裕次（いけがみ ゆうじ）は、1964年9月13日生まれ、埼玉県出身の元競艇選手です。登録番号3245、埼玉支部に所属し、58期としてデビューしました。同じ埼玉支部の平石和男選手とは同期で、叔父には競艇選手の皆川武氏がいます。

生い立ちと競艇選手への道

福島県いわき市で生まれ、幼少期から競艇選手を志していました。中学校時代に再びいわき市へ移り、高校を中退後、自動車工場でアルバイトをしながら競艇選手を目指します。養成所試験に何度も落選しますが、諦めずに受験を続け、6回目の挑戦で合格。1985年に58期生として入所し、模擬レースでトップの成績を収めました。

デビュー後は順調に昇級を重ね、1988年には最優秀新人賞を獲得。1991年には戸田競艇場での35周年記念競走でGI初優勝を果たします。2000年には、同じく戸田競艇場での全日本選手権でSG初優勝。このレースは、4号艇の川崎智幸選手との激しいデッドヒートの末、川崎選手が転覆失格という劇的な展開でした。

「戸田天皇」の異名

池上選手は、SG1勝、GI5勝という実績を誇りますが、特筆すべきはその全てが地元である戸田競艇場での優勝であるという点です。この圧倒的な強さから、「戸田天皇」という異名で呼ばれるようになりました。

人物像とエピソード

池上選手は、ハイテンションな性格で知られており、ファンからは愛される存在でした。2006年の笹川賞競走では、ドリーム戦出場者インタビューで終始ハイテンションなコメントを連発し、会場を笑いに包みました。また、埼玉支部の選手がSG初勝利をあげた際には水神祭に積極的に参加したり、1000勝を達成した選手の公開水神祭では、戸田競艇場のマスコットキャラクター「ウインビー」の着ぐるみを着て登場するなど、お茶目な一面も持ち合わせていました。

また、インターネット掲示板「2ちゃんねる」のユーザーとしても知られており、G1・SGの開会式で2ちゃんねる用語を多用した挨拶をすることも。2003年には、2ちゃんねるユーザーの間で「池上裕次を笹川賞のファン投票で1位にしよう」という運動が起こり、これに感謝した池上選手は、笹川賞の開会式でファンに特製バッジをプレゼントしました。

小学校時代には、転校先の学校で標準語を話すという理由でいじめに遭った経験も持っています。

引退とその後

2020年4月26日、平和島競艇場でのレース中に負傷し、その回復が思わしくなかったため、同年6月17日に選手登録を消除し、現役を引退しました。

主なタイトル

SG
2000年：第47回 全日本選手権（戸田競艇場）
GI
1991年：35周年記念競走（戸田競艇場）
1994年：38周年記念競走（戸田競艇場）
1995年：ダイヤモンドカップ競走（戸田競艇場）
2002年：45周年記念競走（戸田競艇場）
2005年：48周年記念競走（戸田競艇場）

戦績

出走回数：7738回
1着回数：1983回
優出回数：60回
フライング(F)回数：44回
出遅れ(L)回数：1回
通算勝率：6.57
2連対率：46.19
3連対率：62.54
生涯獲得賞金：1,301,242,686円

参考文献

蛭子能収『競艇入門』ポケットブック社、1992年
木村幸治『水上の格闘者たち』講談社、1992年

外部リンク

BOAT RACE オフィシャルWEB
* 選手のプロフィール

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