池中康雄

池中 康雄の略歴と業績

池中 康雄（いけなか やすお、1914年 - 1992年3月14日）は、マラソン選手として名を馳せ、日本陸上競技連盟のオリンピック代表コーチでもありました。大分県中津市に生まれ、1935年にマラソンの世界記録を打ち立てるという快挙を成し遂げました。

学生時代とマラソンの道への第一歩

彼は旧制中津中学校（現在の大分県立中津南高等学校）を卒業後、1932年に東洋大学専門部に入学することになります。同時に東洋大学陸上競技部に加わり、翌年には東京箱根間往復大学駅伝競走に初出場。この期間中に、彼は一流のランナーとしての才能を開花させます。

1935年には東洋大学の予科に入学し、この年に彼はマラソンの世界記録を樹立します。また、彼はこの年、箱根駅伝の山区間で区間賞を獲得し、チームの成長を支える重要な一員となります。彼は1933年から1937年、さらに1940年の6回もの箱根駅伝に出場し、多くの名ランナーたちと共に競い合いました。

教育者としての道と陸上競技への貢献

1945年には故郷に戻り、母校の教員に就任。第二次世界大戦後には、日本陸上競技連盟の五輪代表コーチとしても活躍しました。その間、障害者スポーツの振興にも尽力し、運動の場を広げる活動を行いました。

特に、彼が提唱したマラソン大会は多くの才能を発掘する場となり、現在の別府大分マラソンはその成果として知られています。この大会は、日本のマラソンの登竜門として位置づけられ、多くの選手たちが国内外の舞台で活躍するきっかけとなっています。

幻の五輪代表

池中は、1935年のベルリンオリンピックマラソンにおいて、世界最高記録を樹立し優勝しました。この記録はアメリカのアルバート・マイケルセンが1925年に樹立した記録を上回るものであり、彼の名を世界に知らしめることとなります。ただし、その年の11月には記録が更新されてしまいましたが、彼はベルリンオリンピックマラソン代表候補に選ばれました。

しかし、家族の病気のため、多量の献血を行う必要が生じ、最終選考会では途中棄権という運命に見舞われます。その後、1940年の東京オリンピックに向けても再度代表候補となりましたが、日中戦争の影響でオリンピックは返上され、その後のヘルシンキオリンピックも中止となり、彼はオリンピック出場を果たせないまま現役を引退しました。このような事情から、池中は「幻の五輪代表」と呼ばれることが多くなりました。

最後の日々と功績の記憶

1992年3月14日、池中康雄は77歳でこの世を去ります。彼の功績は、今もなお日本の陸上競技の歴史に刻まれており、彼を称える石碑が日豊本線の東中津駅近くに建立されています。彼の努力と情熱は、今後の世代にも受け継がれていくことでしょう。

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