池松英浩

池松 英浩

人物

日本国の防衛行政に携わる官僚、池松 英浩（いけまつ ひでひろ）は、1968年10月に福岡県で生まれた。彼の家庭は防衛分野と縁が深く、父は防衛大学校を卒業した自衛官であった。池松氏は、熊本県立熊本高等学校で学び、その後、日本の最高学府の一つである東京大学法学部を卒業し、法学の素養を身につけた。

さらに国際的な視野を広げるため、アメリカ合衆国の名門大学であるハーバード大学の公共政策大学院、通称ケネディ・スクールにて学び、公共政策分野の修士号を取得している。この海外での学習経験は、後に彼のキャリアにおいて重要な基盤となった。

池松氏は、行政官長期在外研究員として海外での研鑽を積み、また外務省に出向して在オーストラリア日本国大使館で参事官を務めるなど、防衛省内でも特に国際的な経験が豊富な「国際派」として知られている。彼のキャリアは、防衛政策の立案から装備品の調達、国際安全保障、さらには外交や国際協力といった多岐にわたる分野を横断している。

略歴

池松氏のキャリアは、冷戦終結後の国際情勢が大きく変化する渦中の1992年に、当時の防衛庁へ入庁したことから始まる。初任地は長官官房総務課であり、組織の根幹に関わる業務に携わった。

その後、キャリアの様々な段階で要職を歴任する。

2010年には外務省に出向し、在オーストラリア日本国大使館参事官として、外交の最前線で日本の国益や安全保障に関わる業務を担当した。
帰国後、2012年には情報本部計画部に配属され、情報収集・分析に関わる計画業務に携わった。
2013年には防衛政策局に移り、国際政策課国際安全保障政策室長として、日本の国際的な安全保障戦略や二国間・多国間協力に関する政策立案を主導した。この役職は、国際派としての彼の経験が活かされる重要なポストであった。
2014年には、経理装備局の航空機課長に就任し、航空自衛隊などが運用する航空機の取得や関連予算管理といった装備行政の一翼を担った。
翌2015年には、新設された防衛装備庁に移り、装備政策部国際装備課長として、防衛装備品の海外移転や共同開発といった国際的な装備協力政策を担当した。これは日本の防衛装備行政における新たな分野であり、その立ち上げに関わった経験は大きい。
2016年には内閣官房に出向し、内閣参事官を務めた。ここでは、省庁横断的な重要政策の調整や企画立案に携わり、政府全体の中での防衛省の役割をより広い視点から捉える機会を得た。
2018年には防衛省本省に戻り、統合幕僚監部首席参事官に就任。自衛隊の運用を司る統合幕僚監部において、防衛政策と自衛隊の現場をつなぐ重要な役割を果たしたとみられる。
2020年には再び外務省へ出向し、大臣官房審議官（総合外交政策局軍縮不拡散・科学部担当）という、大使の肩書きを持つポストに就いた。ここでは、核不拡散や軍備管理といった国際的な安全保障の重要課題について、外交的な側面から深く関与した。
* 直近では、2022年から内閣府の国際平和協力本部事務局次長を務めている。この部署は、国連平和維持活動（PKO）をはじめとする日本の国際平和協力活動を企画・実施しており、彼のキャリアの集大成として、国際貢献分野における日本の役割推進に力を注いでいる。

このように、池松英浩氏は、防衛政策、装備、国際安全保障、外交、そして国際平和協力といった幅広い分野で要職を経験し、特に国際的な舞台での活躍が顕著な防衛官僚である。そのキャリアは、変化する国際環境における日本の安全保障のあり方を多角的に追求してきた軌跡と言えるだろう。

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