池田光穂

池田光穂：文化人類学者、その学際的な探求

池田光穂（1956年6月16日生まれ）は、日本の文化人類学者であり、特に中央アメリカの民族誌研究と医療人類学の分野で著名な研究者です。大阪府出身。

学歴と職歴

池田氏は、1980年に鹿児島大学理学部生物学科を卒業後、大阪大学大学院医学研究科修士課程（医科学）を修了。その後、国際協力事業団（JICA）青年海外協力隊員としてホンジュラス共和国保健省に派遣され、国際的なフィールドワークの経験を積みました。大阪大学大学院医学研究科博士課程社会医学専攻を単位取得済退学。

帰国後は、日本学術振興会特別研究員、東日本学園大学（現北海道医療大学）教養部助教授、熊本大学文学部助教授、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター（CSCD）教授、大阪大学COデザインセンター教授などを歴任し、2022年4月より大阪大学名誉教授、大阪大学COデザインセンター招へい教員を務めています。

研究分野

池田氏の研究領域は多岐にわたり、医療人類学、中米民族誌学、エコツーリズム研究、科学人類学、先住民運動研究、多文化共生社会における医療・福祉サービスのあり方、臨床コミュニケーション、ヘルスコミュニケーション、そして狗類学（犬に関する研究）など、広範なテーマに取り組んでいます。

主な著作

池田氏は、数多くの著書や論文を発表しており、その学術的な貢献は非常に大きいものがあります。

『医療と神々』（1989年）
『実践の医療人類学—中央アメリカ・ヘルスケアシステムにおける医療の地政学的展開』（2001年）
『医療人類学のレッスン』（2007年、奥野克巳との共編著）
『看護人類学入門』（2010年）
『コンフリクトと移民』（2012年、編著）
『犬からみた人類史』（2019年、大石高典・近藤祉秋との共編著）
『暴力の政治民族誌：現代マヤ先住民の経験と記憶』（2020年）
『音と感覚のエスノグラフィー : マヤ・ケクチの民族音楽学』（2021年、滝奈々子との共著）

これらの著作は、医療、文化、社会、動物と人間の関係など、多様な視点から現代社会の課題を考察する上で重要な貢献を果たしています。

所属学会

池田氏は、以下の学会に所属し、学術活動を積極的に行っています。

日本文化人類学会
アメリカ人類学会連合
日本ラテンアメリカ学会
日本保健医療社会学会

医療人類学の定義

池田氏によれば、医療人類学は「医学と人類学を架橋する学問」と定義されています。これは、医療を単なる生物学的な現象として捉えるのではなく、文化、社会、歴史的な文脈の中で理解しようとするアプローチを示しています。

まとめ

池田光穂は、その学際的な知識、国際的な経験、そして幅広い研究テーマを通じて、文化人類学の発展に大きく貢献している研究者です。医療、文化、社会、人間と動物の関係など、多様な視点から現代社会の課題を考察するその研究は、今後ますます重要性を増していくと考えられます。

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