池田文庫

池田文庫：関西唯一の私鉄系企業図書館、文化と歴史を紡ぐ宝庫

大阪府池田市に位置する池田文庫は、阪急阪神東宝グループが運営する企業図書館です。関西地方の大手私鉄が保有する企業図書館としては唯一の存在であり、その歴史と規模、そして所蔵資料の豊富さから、地域文化に貢献する重要な施設として知られています。

小林一三の理想が形になった文化空間

池田文庫の設立は、阪急阪神東宝グループの創業者である小林一三氏の地方文化振興への強い思いから生まれました。理想的な地方文化事業の創出という氏のビジョンが、この図書館の設立へと繋がったのです。単なる資料保管施設にとどまらず、地域住民や研究者にとって貴重な文化交流の場として機能しています。

多彩な蔵書：演劇から民俗芸能まで

池田文庫の最大の特色は、その多様な蔵書にあります。阪急電鉄の歴史資料はもちろん、宝塚歌劇に関する膨大な資料、歌舞伎に関する貴重な絵画や資料、そして日本各地の民俗芸能に関する映像や音声資料など、実に幅広い分野の資料が収蔵されています。

特に宝塚歌劇関連資料は充実しており、公演プログラムやポスター、写真集、機関誌、さらには公演の原作となった文学作品や漫画なども網羅しています。これらの資料は、宝塚歌劇の歴史を研究する上で欠かせない貴重な資源となっています。

また、1958年に宝塚歌劇団に発足した「郷土芸能研究会」が収集した日本全国の民俗芸能・祭事に関する資料も保管されており、民俗学研究者にとって貴重な調査資料となっています。これらの資料は、映像フィルム、音声テープ、ネガフィルム、そして詳細な取材レポートなど多岐にわたっています。

歌舞伎関連資料も、宝塚文芸図書館時代から収集された江戸時代中期以降の貴重な資料が数多く含まれており、役者絵や絵看板など、歌舞伎の歴史を紐解く上で重要な資料となっています。

充実した館内施設と利用案内

池田文庫は、資料閲覧室の他に、年2回企画展を開催する展示室も備えています。企画展では、所蔵資料の中からテーマに沿った資料を展示し、来館者に公開しています。

さらに、敷地内には大小庵と古彩庵という2つの茶室があり、落ち着いた雰囲気の中で、資料閲覧後の休憩や、研究会・研修会などの利用も可能です。毎週木曜日から土曜日には茶室が稽古に使用され、それ以外の日は貸し切りも可能です（有料）。

ただし、貴重な資料を保護するために、館内への持ち込み制限など、いくつかの注意事項があります。かばんや袋の持ち込みは禁止で、手荷物はコインロッカーに預ける必要があります。また、中学生以上が利用対象となり、展示室の観覧は有料です。さらに、館外貸出は行っておらず、貴重図書・資料の閲覧には紹介状と事前の予約が必要です。撮影も禁止されています。

開館時間は午前10時から午後5時まで。休館日は月曜日、祝日、第1水曜日です。アクセスは阪急宝塚本線池田駅から徒歩約15分、または阪急バス綾羽町バス停から徒歩約5分です。

文化拠点としての役割

池田文庫は、単なる企業図書館の枠を超え、地域社会に貢献する文化拠点としての役割を担っています。貴重な資料を保存・公開するだけでなく、企画展や茶室の貸し出しなどを通じて、地域住民との交流を積極的に行っています。これからも、地域の文化の発展に貢献していくことが期待されています。

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