池田斉稷

池田斉稷の生涯と業績

池田斉稷（いけだ なりとし）は、因幡鳥取藩の第8代藩主であり、その生涯は波乱万丈なものでした。彼は、先代藩主の池田治道の次男として、天明8年（1788年）に江戸藩邸に生まれました。斉稷の母は側室の佃氏であり、彼は母の血筋を受け継いだ特異な存在として育ちました。

斉稷の幼名は永之進であり、初名は道稷でした。彼は異母兄の池田斉邦と共に将来の藩主候補として期待されていましたが、早くから父である治道の後継者としての運命を歩むことになります。特に、治道の正室である生姫の死去後、一部の家臣たちから兄に対する対抗馬として推されることがありました。この時期には、治道からの信任を受けている様子が窺えます。

寛政10年（1798年）には父が亡くなり、兄が家督を継ぎましたが、文化4年（1807年）に兄は嗣子なくして亡くなります。そのため、道稷が藩主の地位を引き継ぐことに。彼は元服の際に、11代将軍徳川家斉の面前で家名と地位を確立し、斉稷と名乗りました。

藩主としての活動は、彼が文化10年（1813年）に正室・演姫と結婚したことからも明らかです。演姫は米沢藩主・上杉治広の三女であり、彼との結婚により、藩の家族間の連携が強化されました。斉稷は治道の時代同様に多くの子供をもうけ、特に徳川家から養子を迎えた文化14年（1817年）以降、従四位上に昇格し、更には左近衛中将としての地位も得ました。

彼の治世の中で、彼の養子である乙五郎が父の目の前で元服し、斉衆と名乗るようになったのも重要な出来事です。しかし、斉衆は文政9年（1826年）に早世し、斉稷の次男である誠之進、のちの池田斉訓が新たな後継者となりました。

斉稷は最終的に文政13年（1830年）に江戸屋敷で亡くなり、その享年は43歳でした。彼の法号は耀國院殿峻徳光隆大居士とされており、遺命により江戸の弘福寺に埋葬され、後の時代に鳥取藩主池田家の墓所に改葬されることになります。

池田斉稷の代では、将軍家からの養子を迎え入れたことが大きな意義を持ちました。これにより、因幡鳥取藩では他家からの養子を迎える道が開かれることになり、今後の藩の運営に朗報をもたらした点でも重要です。彼の子女は4男3女があり、家族を礎にして因幡藩の発展に寄与したことは、彼の生涯の大きな意義と言えるでしょう。

その苦難に満ちた生涯の中で、斉稷は藩主としての役割だけでなく、家族を守り続け、さらには新たな道を開く先見の明を持っていたと言えます。彼堅牢なる家族の絆と藩の未来に寄与した偉大な人物として、今もその名が語り継がれています。

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