池部鈞

池部 鈞（いけべ ひとし）

池部鈞（1886年3月3日 - 1969年12月17日）は、東京府本所区（現在の墨田区）出身の著名な風刺漫画家であり洋画家です。本名は山下で、後に養子となり池部姓を名乗ることになりました。彼は一平岡本と血縁関係にあり、芸術一家の一員として成長しました。また、俳優の池部良は彼の実子です。

幼少期と教育の背景

池部は1886年に東京本所で生まれました。父親は山下覺之介で、叔父の池部鍬吉の養子となります。彼の教育は台東区立下谷小学校で始まり、その後、1898年に神田の錦城中学に進学しました。12歳の頃、彼は白馬会展を訪れ、その作品に強く感駆され画家を志すようになります。

中学3年の1910年、彼は石井柏亭に師事しようとしましたが断られてしまい、代わりに渡辺審也に師事することになりました。1910年には東京美術学校を卒業し、翌年には朝鮮の京城日報社に入社。1914年には宮依蘇峰が運営する国民新聞に参加し、政治、議会、社会をテーマにした漫画を担当しました。

漫画界での活躍

彼の漫画家としてのキャリアは1916年に『トバエ』の創刊に参加したところから始まります。翌年には『漫画』の創刊にも頭を携わり、その後も『漫画の畑』や『漫画ボーイ』の創刊号から参加。1920年代には日本の漫画界の第一人者としての地位を確立しました。彼の作品は当時の社会を風刺し、幅広い読者から支持を受けていました。

油絵の分野での成就

同時期に彼は油絵の活動も行い、1921年からは帝国美術院展に出品を始めます。特に1928年には『少女球戯図』が帝展特選となり、1930年には『踊』が無鑑査作品としても評価されました。彼の作風はその時代の流行を反映したものであり、独自の技法で多くの人々を魅了しました。

組織活動と受賞歴

1938年には一水会の会員となり、その後運営委員と日展評議員も務めました。彼の業績は多数の評価を受け、1966年には「美人一列」で日本芸術院賞を受賞し、翌年には勲四等旭日小綬章も授与されました。

最晩年と死去

池部鈞は1969年12月17日に東京の永生病院で心不全のために永眠しました。享年83歳でした。彼の人生は、日本の風刺漫画と洋画において重要な役割を果たした時代の証人でもあります。

家族関係と講義

彼の家族もまた、芸術家としての才能を継承しています。妻は岡本一平の妹であり、彼自身も多くの著作を残しました。代表作には『僕の学生時代』や『漫画の満洲』があり、彼の思想や経験が凝縮されています。また、彼の芸術的な影響は、親族である岡本太郎や岡本かの子などにも見られ、これからも彼の作品や思想は語り継がれることでしょう。

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