決死圏SOS宇宙船

決死圏SOS宇宙船について

『決死圏SOS宇宙船』は、1969年にイギリスのジェリー＆シルヴィア・アンダーソン夫妻が制作した特撮映画です。スーパーマリオネーションで知られるアンダーソンが、実際の俳優を起用したのは約10年ぶりの試みでした。この映画は日本では劇場公開されず、1972年にNETテレビで放送されました。興味深いことに、当時の録音台本では異なるタイトルがつけられていたり、一部の公式情報でも微妙に異なる表現が見受けられます。

ストーリー概要

物語は、太陽系内で新たに発見された第10惑星を巡るもので、太陽を挟んで対称的に存在する惑星が写真によって明らかになったことから始まります。宇宙開発連合ユーロセクのウェッブ所長は、各国に調査の協力を求めますが、予算の問題から拒否されてしまいます。その中、スパイの存在が発覚し、NASAが動き出します。NASAから派遣されたグレン・ロス大佐とユーロセクの科学者ジョン・ケーン博士は、フェニックス号で新惑星に向かうことになります。

宇宙での訓練を終えた二人は出発しますが、不運にも着陸直前で墜落してしまいます。ロス大佐は気を失っていましたが、ケーン博士の助けで無事に救出されます。しかし、地球に戻った後、ロス大佐は自身の部屋の間取りが変わっていることに気づき、様々な奇妙な出来事に直面します。彼は思いがけない事実に目を向けることになります。

複雑な人間関係

この映画では、グレン・ロス大佐とその妻シャロンの関係も描かれています。夫婦間の不和が生じる中、ロス大佐はリーザ・ハートマンというスタッフに心を寄せていく一方、シャロンは広報官パウロ・ランディと親密な関係になってしまいます。このように、個々のキャラクターの人間模様が物語の中で重要な役割を果たしています。

反地球の設定

『決死圏SOS宇宙船』は、基本的な設定がSF界では古典的とされる「反地球」のアイデアに基づいています。太陽を挟んで位置するもう一つの地球は通常は見えず、この独特な設定がキャラクターたちの運命に影響を与えます。映画には多くのサブキャラクターや背景要素も存在し、『謎の円盤UFO』との関連が見られる点も注目すべきです。

製作陣と技術

製作にはアンダーソン夫妻が名を連ね、ロバート・パリッシュが監督を務めました。映画音楽はバリー・グレイが担当し、視覚効果にはデレク・メディングスの手が加えられています。ロケーション撮影はポルトガルとパインウッド・スタジオで行われ、特撮技術が駆使されました。

映画の影響

この作品は、特撮映画の分野における重要なマイルストーンといえます。映像技術やストーリーテリングにおいて、多くの未来の作品に影響を与えました。また、作品のテーマ性は、視聴者にさまざまな考察を促し続けています。

まとめ

『決死圏SOS宇宙船』は、特撮映画だけでなく、SF映画としても高い評価を受けています。その独自の設定と人間ドラマは、観る者に深い印象を残します。未だ、多くのファンを持ち続けるこの作品は、今なお多くの観客に愛される理由があるのです。

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