沖克己

沖 克已（おき かつみ）の功績と人生

沖克已（おき かつみ）は、1918年8月9日に香川県坂出市で生まれ、プロ野球選手及びその後プロ野球審判員として知られる人物です。彼の野球人生は多岐にわたり、特にその独特な経歴とエピソードが語り草となっています。

初期のキャリア

沖は地元の香川県立坂出商業学校を卒業後、朝鮮の特定の鉄道局で社会人野球として活動を始めました。彼のプロ野球キャリアは1937年に阪急軍に入団したことから始まりますが、残念ながらその年に限りで退団を余儀なくされました。

戦争と捕虜体験

彼の人生の中で特筆すべきは、太平洋戦争中の経験です。沖はレイテ島の戦闘に参加し、その後捕虜になりました。捕虜収容所では、アメリカ軍の通訳としてバッキー・ハリスに出会い、彼と再会したことで捕虜たちの気持ちが大きく改善したエピソードがあります。この再会は、彼の野球仲間との絆を象徴する瞬間でもありました。

審判員としての再出発

阪急軍を退団した後は、長らくプロ野球界とは関わりを持ちませんでしたが、1955年に再び野球界に戻ることを決意します。彼はパシフィック・リーグの東京審判部に入部し、プロ野球審判としての新たな道を歩み始めました。沖は1988年まで厳しいスポーツ界で審判の役割を果たし、1979年から1988年まで東京審判部の専任指導員としても活動しました。

審判としての逸話

沖克已はその審判としてのキャリアの中で、いくつかの印象的なエピソードを持っています。代表的なものとして、1971年の日本シリーズ第3戦で球審を務めた際、王貞治選手が逆転サヨナラ3ランホームランを放った試合が挙げられます。また、彼は大杉勝男選手とカール・ボレス選手の殴り合いの際、双方を退場させず記者に「なぜ退場にしなかったのか？」と問われた時、「大杉のパンチが早すぎてわからなかった」と答えたことでも知られています。この言葉は、沖のユーモアのセンスを示すものでしょう。

最晩年とその影響

沖は1993年6月15日に急性肺炎により74歳で亡くなりました。彼の業績は今も多くの野球ファンに語り継がれており、日本の野球界に与えた影響は計り知れません。沖克已の努力と情熱は、現在の選手や審判にとっても大切な見本となることでしょう。彼の名は、香川県出身の偉大な体育者の一人として、記憶され続けます。

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