沖国大米軍ヘリ墜落事件

沖縄国際大学米軍ヘリコプター墜落事件

沖縄国際大学での米軍ヘリコプター墜落事件は、2004年8月13日に発生しました。この事故は、沖縄県宜野湾市に所在する同大学の1号館にアメリカ海兵隊の大型輸送ヘリコプターCH-53Dが墜落し、炎上するという重大な事態を引き起こしました。事故は午後2時15分頃に発生し、訓練中のヘリがコントロールを喪失した結果、建物に激突。乗員3名は軽傷を負いましたが、1号館内部にいた大学職員や民間人は幸い怪我を免れました。

事故の影響は多岐にわたり、大学の通信回線は一時的に遮断され、接触した1号館は大きな損傷を受けました。特にローターによる物理的被害や、炎と煙に伴う損害は深刻であり、その後の調査の結果、1号館は2005年7月に取り壊されることとなります。その後、2006年には再建工事が完成し、新たに学生たちの学び舎となりました。

この墜落事件は、沖縄が本土復帰を果たして以来、民間地域への米軍ヘリコプターの墜落としては初めての事例であり、地域住民の安全に対する懸念が高まりました。特に近隣には住宅やガソリンスタンド、保育園などがあり、墜落した機体の破片がこれらの施設にも降り注いだことから、沖縄県内からは厳しい非難の声が上がりました。

米軍の事故後の対応

墜落直後、米軍は現場を封鎖し、消火活動が終わった後も日本の警察や消防、大学関係者が立ち入ることを許可しませんでした。この米軍の行動は、日米地位協定に基づくものであり、合意議事録によって米軍の資産に対する捜査権が日本側にはないことが明記されていました。さらに、ヘリコプターのローターブレードには、耐久性検査のための放射性物質ストロンチウム90が使用されており、この物質の一部が墜落時に損壊し、放射能汚染の懸念も生じましたが、米国大使館はその影響が熱で気化する可能性が高いと説明しました。

事故の調査と結果

日米合同の事故分科委員会は調査を行った結果、整備のミスが事故の原因であるとの報告を出しました。アメリカ側の説明では、ヘリコプターの回転翼を支えるボルトに必要な部品が取り付けられていなかったため、飛行中にボルトが外れ、操縦不能となったとされています。

事故後の抗議と対応

墜落から約1か月後の9月12日には、沖縄国際大学で抗議集会が開催され、多くの人々が参加しました。これは1995年の米兵による少女暴行事件に続く大規模な抗議であり、参加者は日本の施政権や大学の自治を侵害する事態に対する強い不満を表明しました。事故現場には、焼け焦げた木々がメモリアルとして保存されており、現在もその記憶をとどめる役割を果たしています。

沖縄県警察は、事故の捜査を行いましたが、日米地位協定の制約により、最終的な解明には至りませんでした。結果的には、数人の乗員が不起訴となり、事態は未解決のまま終息を迎えました。

両政府間の協議

この事件を受けて、日米両国は墜落事故後の対応に関するガイドラインを作成し、その内容は2019年に改訂されました。このように、事故は沖縄における米軍の存在とその影響力に対するさらなる議論を引き起こしました。

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