河内山宗俊 (映画)

あらすじ

舞台は江戸時代。甘酒屋を営むお浪は、無頼漢に憧れる弟の広太郎を心配していた。広太郎は賭場に出入りを繰り返し、お浪の心は休まらない。

そんな中、所場代を取り立てる用心棒の金子市之丞は、お浪に密かに想いを寄せていた。彼は、彼女の健気さに心を打たれ、所場代を取り立てるのをためらうほどだった。

ある日、広太郎は侍から小柄を盗んでしまう。その場に居合わせた河内山宗俊は、広太郎の助言から賭け将棋のイカサマを見抜き、逆に大金をせしめる。宗俊は、弟を心配するお浪と出会い、広太郎を探すことを約束する。

広太郎は、実は「直次郎」と偽名を名乗り、宗俊から得た金で遊び歩いていた。その先で、幼馴染の三千歳と再会する。

一方、お浪の元には、小柄を取り戻そうとする侍・北村大膳が詰め寄る。その小柄は、将軍家から贈られた由緒ある品だった。

お浪を庇う市之丞だったが、小柄は競りにかけられ、最終的には大膳の手に戻る。この騒動をきっかけに、宗俊と市之丞は喧嘩をするが、すぐに意気投合し、酒を酌み交わす仲となる。

遊郭に身請けされることになった三千歳を救うため、広太郎は宗俊に助けを求めるが、宗俊の情婦に冷たくあしらわれる。絶望した三千歳と広太郎は、入水心中を図ってしまう。

宗俊は、お静の嫌味に腹を立てて呑みに出かけ、翌朝、お浪が宗俊を訪ねてくる。しかし、お静に侮辱され、お浪は家に戻る。そこで、三千歳は亡くなったものの、広太郎は生きていることを知る。

そこに、森田屋がやってきて、三千歳の身請け金を弁償しなければ、お浪が身代わりになるしかないと告げる。お浪は身売りされ、それを知った市之丞は、宗俊に相談し、お浪を救出する。

お浪が勝手に身売りされたことを知った森田屋は激怒し、お浪を探し出すように命じる。

市之丞と宗俊は、お浪を救うために一計を案じる。その夜、姉の居場所を知らない広太郎は、森田屋を疑い、刺し殺してしまう。

翌日、宗俊は上野の法親王の使僧に扮し、松前家上屋敷に乗り込み、小柄に難癖をつけ大金をせしめる。しかし、家に戻るとお浪の姿が見当たらない。お静は、広太郎がお浪を連れて行ったと言うが、そこに広太郎が駆け込んでくる。

森田屋の子分たちが襲撃してくる中、お静は息絶え絶えにお浪が品川の遊郭に売られたことを告げる。宗俊と市之丞は、森田屋の子分たちを足止めするために戦い、命を落とす。広太郎は、宗俊から受け取った金を持って、お浪を救うために品川へ向かう。

スタッフ

監督：山中貞雄
原作：河竹黙阿弥『天衣紛上野初花』
脚本：三村伸太郎
出演：河原崎長十郎、中村翫右衛門、市川莚司（加藤大介）、原節子

備考

山中貞雄監督の作品の中で、ほぼ完全な形でフィルムが現存するのは、本作の他に『丹下左膳余話 百萬両の壺』、『人情紙風船』の3本のみである。ただし、本作には、広太郎と三千歳のラブシーン、森田屋が三千歳を呼ぶ場面など、約5分が削除されている。

現存するのは、原版からコピーされた16ミリフィルム版のみであり、映像・音声ともに劣化していた。2020年、日活と国際交流基金により、4Kデジタル復元版が東京国際映画祭で公開された。

関連項目

前進座
中村吉右衛門

外部リンク

河内山宗俊 - allcinema
河内山宗俊 - KINENOTE

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