河原崎國太郎 (5代目)

河原崎國太郎について

河原崎國太郎（かわらさき くにたろう）、本名松山太郎は、1909年に東京で生まれ、1990年に生涯を閉じた日本の著名な俳優です。彼は前進座で女形として活躍し、古典芸能の分野でその名を知られる存在となりました。彼自身は広島の出身であり、両親ともに広島で生まれましたが、家族の事情で上京したため、東京での誕生となりました。

幼少期と家族背景

河原崎の祖父は広島藩主の家に仕えていた政治家であり、父は洋画家の松山省三です。父は画家としての道を志す一方で、政治家の道を避け、家族と共に東京に移り住みました。その際、母が妊娠中であったため、国太郎は東京神田で誕生しました。国太郎は自身の故郷を広島と定義しており、広島への強い愛着を示していました。

俳優としてのキャリア

国太郎は1928年に旧制立教中学校を卒業後、二代目市川猿之助に入門し、市川笑也として初舞台を踏みました。その後、彼は1931年に前進座を結成し、1932年には五代目河原崎國太郎を襲名しました。国太郎が特に才能を発揮したのは、古風な色気が求められる南北や黙阿弥の世話物においてでした。彼は主演作『お染の七役』が評価を受け、勢いに乗りました。この作品では、彼の演技が多くの人々の心に残りました。

注目すべき業績

主な役柄には、処女翫浮名横櫛の切られお富や、お染の七役での土手のお六、絵本合法衢のうんざりお松、一本刀土俵入の、お蔦などがあります。特に初演時における切られお富役は、彼の芸が高く評価されたものです。時間が経つにつれ、映画やテレビドラマにも出演するようになり、より多くの観客に親しまれる存在となりました。

晩年とその影響

国太郎は晩年にも精力的に活躍し、多くの映画やテレビドラマに出演しました。彼のキャリアは多岐にわたり、広く知られる存在へと成長しましたが、1990年に80歳でこの世を去りました。彼が亡くなった際、息子の松山英太郎は癌で入院中であり、その葬儀には参列できませんでした。その松山も翌年に父の後を追うようにして亡くなりました。

家族と子孫

河原崎國太郎の家族も芸術の道を歩んでいます。妻は宝塚歌劇団出身の鈴鹿ゆみ子であり、長男は俳優の松山英太郎、次男は松山政路、娘は日本舞踊家の藤間多寿史など、一族はエンターテインメントの世界で広く活躍しています。孫には歌舞伎役者の6代目河原崎國太郎や女優の由夏なども含まれ、血筋が続いていくのです。

著書と文学への寄与

河原崎はまた著作活動にも力を入れ、自伝や女形に関する書籍を多数執筆しました。その中には『河原なでしこ 自伝・女形の世界』や『女形芸談』などがあり、彼の考え方や経験を後世に伝える貴重な資料として評価されています。さらに、後の世代に多くの影響を与える存在として、今なおその名は語り継がれています。

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