河原正彦

河原 正彦 – 日本の美術史学者

河原正彦（かわはらまさひこ）は、1935年9月25日に長野県長野市に生まれ、日本の美術史学界において重要な役割を果たした学者です。2017年5月9日に細菌性肺炎により京都府城陽市の病院で亡くなるまで、彼の業績は多くの人々に影響を与えてきました。享年81歳。京都国立博物館の名誉館員として、日本の文化と美術工芸史、さらには東洋陶磁史に関する深い洞察を持つ専門家でした。

学歴と職歴

河原は同志社大学文学部の文化学科、文化史専攻を卒業し、その後、同大学院の文学研究科文化史学専攻で博士課程に在籍。単位取得後は満期退学という形で学業を終えました。彼のキャリアは、1970年代から始まり、まずは京都府立総合資料館で資料部の主事を務め、その後、京都国立博物館にて学芸課工芸室、研究職の文部技官、工芸室長、学芸課長などという高い職位を歴任しました。その後、京都橘女子大学文学部で文化財学科の教授を務め、滋賀県立陶芸の森の館長にも就任しています。

専門領域

河原の専門分野は、文化史学、美術工芸史、そして東洋陶磁史です。これらの分野において、彼は多くの研究成果を上げ、著しい業績を残しました。特に、東洋陶磁の研究においては、実物に基づく詳細な観察と分析が求められ、その成果は日本の美術史研究において大きな価値を持つものでした。

著書と共著・編著

河原は様々な著書を出版しており、彼の代表作の一つに『染付伊万里大皿』（1974）があります。この書籍は、伊万里焼の技法や美しさについて掘り下げており、作品としての価値を具体的に示しています。また、『古染付』（1977）や『やきもの鑑賞』（1982）も重要な著作であり、それぞれにおいて多様な観点からやきものの魅力を解説しています。

彼はまた、共著や編集においても数えきれないほどの作品を手がけており、特に『日本の文様』シリーズや『陶磁大系』に参加したことは、彼の研究内容を広めるうえで大変意義深いものでした。例えば、『日本の文様 1 菊』や『陶磁大系 26 京焼』は、多くの人々に日本の美術や文様の深い理解を助ける資料となっています。

論文と研究への貢献

河原の研究は、書籍だけにとどまらず、数多くの論文にも表れています。これらの論文は、学術的な評価を受け、後の美術研究者たちにとっても貴重な資料となっています。彼の業績は、時代を超えて多くの学者や学生に影響を与え、現在においても重要視されています。

河原正彦の研究は、日本の美術史を理解する上で欠かせない存在であり、彼の著作や論文からは、当時の文化や社会情勢に関する豊かな情報が得られます。彼の人生と研究は、今後も日本美術界において語り継がれていくことでしょう。

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