河口湖自動車博物館・飛行舘

河口湖自動車博物館・飛行舘

山梨県南都留郡鳴沢村の富士桜高原内に位置する河口湖自動車博物館・飛行舘は、自動車と航空機という二つの異なる分野の貴重なコレクションを収蔵・公開するユニークな私設博物館です。実業家である原田信雄氏が、長年にわたり収集した名車の数々と、後世に伝えるべき航空遺産を展示するため、私財を投じて設立しました。この博物館の最大の特徴は、通年開館ではなく、例年8月のわずか一ヶ月間のみ一般公開されるという点にあります。この限られた期間だけ、日本国内はもとより世界各地から多くの愛好家や歴史ファンが訪れます。

館内は、その名の通り「自動車館」と「飛行舘」の二つの主要なセクションに分かれています。

自動車館

自動車館では、自動車の歴史を辿る多様な車両が展示されています。展示は年代によって分けられており、特に黎明期から2000年代初頭までの幅広い時代の名車を見ることができます。館内はさらに二つのホールに分かれており、

ホールA：1880年代という自動車の非常に初期の時代から、第二次世界大戦後の1950年代にかけて製造されたクラシックカーを中心に展示しています。自動車技術の進化の過程や、各時代のデザイン思想を垣間見ることができます。
ホールB：1950年代以降、現代に至るまでの自動車が展示されています。より身近な存在となった時代の車から、高性能スポーツカー、あるいは特定の技術革新を示すモデルまで、多岐にわたる車両が並びます。

いずれのホールも、単に車両を並べるだけでなく、それぞれの車の背景にある物語や技術的な特徴に焦点を当てた展示が行われています。

飛行舘

飛行舘は、主に旧日本軍で使用された貴重な航空機やその関連部品を展示しています。中でも特筆すべきは、零式艦上戦闘機の存在です。当館では、これまでに合計4機の零式艦上戦闘機を meticulous な修復作業を経て復元させており、そのうち3機がこの飛行舘で常設展示されています（残る1機は靖国神社内の遊就館へ寄贈されました）。

これらの零戦は、可能な限り当時の状態を再現するために、世界中から部品を収集し、専門家の手によって丁寧に組み上げられたものです。その美しい姿は、見る者に当時の航空技術の高さや、戦争という過酷な時代に思いを馳せさせます。零戦以外にも、

一式陸上攻撃機
一式戦闘機（隼）

といった他の旧日本軍機の機体の一部や、

栄
熱田

などの代表的な航空用発動機（エンジン）も展示されており、日本の航空史における重要な資料となっています。

まとめ

河口湖自動車博物館・飛行舘は、限られた期間しか開館しないため、その希少価値は非常に高いと言えます。自動車と航空機という、メカニズムと歴史において重要な役割を果たした乗り物の両方を、一度にこれほど充実した形で見られる場所は国内でも稀です。富士山の麓という美しいロケーションも相まって、夏の一ヶ月間に訪れる価値のある、特別な博物館と言えるでしょう。

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