河本昭人

河本 昭人（かわもと あきひと）

河本 昭人は、日本の社会人野球界で長年にわたり活躍した元アマチュア野球選手であり、また指導者としても顕著な功績を残した人物である。山口県周防大島の出身。

選手としての歩み

高校時代は地元の久賀高等学校で野球に打ち込んだ。彼が2年生だった時に、所属する野球部は軟式から硬式へと移行。この経験が、その後の硬球でのプレーヤーとしてのキャリアの基礎を築いたと言えるだろう。

高校卒業後、河本は電電中国に入社し、社会人野球選手としての道を歩み始めた。電電中国で約4年間プレーした後、全国的な舞台での活躍を強く志向し、河合楽器へと移籍。河合楽器では、持ち前の投球術でチームに貢献するとともに、日本の社会人野球における最高峰の大会である都市対抗野球大会にも出場を果たした。河合楽器での約2年間の在籍を経て、さらに本田技研へと活躍の場を移すこととなる。

本田技研でプレーしていた1967年、河本はプロ野球界から注目を浴びる。同年のプロ野球ドラフト会議において、サンケイアトムズから15位で指名を受けたのだ。しかし、彼はプロ入りという道を選ばず、所属チームである本田技研に留まることを決断。アマチュア野球界でのプレーを続ける道を選んだ。

河本は選手として、都市対抗野球大会に特に深い関わりを持った。彼は通算で12回という多数の都市対抗出場を果たしている。これは、長きにわたり日本の社会人野球のトップレベルで活躍した証に他ならない。特に、1974年の大会では、他チームである日産自動車の補強選手として出場。この年の出場が、社会人野球選手にとって名誉とされる都市対抗野球10年連続出場選手としての表彰へと繋がった。この記録は、彼が一時期も衰えることなく高いパフォーマンスを維持し続けたことを物語っている。

監督としての功績

河本は選手としての晩年期から、指導者としてのキャリアもスタートさせている。1973年から3年間、本田技研硬式野球部で選手としてプレーを続けながら、同時にチームの指揮を執る選手兼任監督を務めた。この期間、選手と監督という二足の草鞋を履き、チームの強化に尽力した。

選手兼任監督を退いた後は、一時的に社業に専念していたが、1982年に再び本田技研硬式野球部の専任監督として現場に戻ってきた。監督復帰後、河本はチームを率いて着実に力をつけさせ、その手腕を発揮した。そして、監督としてチームを率いてから数年後の1985年、彼の指導者キャリアにおける最大のハイライトが訪れる。第12回社会人野球日本選手権大会において、河本監督率いる本田技研は見事、全国の強豪を打ち破り、創部以来初となる全国制覇を達成したのだ。この優勝は、選手としても監督としても社会人野球の頂点を知る河本昭人という人物の、指導者としての能力とチーム作りの巧みさを強く印象付ける出来事となった。

選手として都市対抗野球で長く活躍し、監督としてはチームを全国優勝に導いた河本昭人は、日本の社会人野球界において、その経歴と功績は特筆されるべき存在である。

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