河瀬駅前交番警察官射殺事件

河瀬駅前交番警察官射殺事件

本事件は、2018年4月11日に滋賀県彦根市の河瀬駅前交番で発生した、警察官射殺事件です。当時19歳の巡査（以下、X）が、41歳の上司である巡査部長（以下、A）を交番内で射殺しました。この事件は、警察官が自身の職務中に貸与された拳銃で同僚を殺害した、前代未聞の不祥事として広く報じられることとなり、日本社会に衝撃を与えました。

事件の背景と発生までの経緯

加害者Xは2017年4月に滋賀県警察に採用され、2018年1月に彦根警察署に配属されました。その後、わずか1か月の間に河瀬駅前交番に異動になり、Aが教育係として指導を行っていました。事件が起きる前の数週間、XはAからの指導が厳しいと感じており、それが心の負担となっていました。特に書類作成に関する指導や、パトカー出動時の適切な行動を怠ったことが追い討ちをかけ、Xは自尊心が傷つけられたと感じていたようです。

事件当日の状況

2018年4月11日、午前8時30分からXとAは共に勤務し、事件が起こるまでの間に4回一緒に勤務していました。同日の午後、XはAから行方不明届の作成を指示されますが、これに対して「できない」と答えたことで叱責されます。これがXに対する苛立ちを引き起こし、昼食後、Aの背後から拳銃を発射し、2発が頭部と背部に命中しました。Aはその場で即死し、Xは交番から逃走し始めました。

逃走と発覚

事件発生から10分後、XはATMで現金を引き出し、目撃者によると、制服姿でコンビニに立ち寄ったそうです。その後、パトカーが田んぼに突っ込んでいるとの通報があり、東近江警察署の署員が現場へ急行しました。そこでは、Aが倒れているのを発見し、救急搬送されるもすでに死亡が確認されました。Xは、身柄確保される約15分前、親と通話をしていたと供述しました。

逮捕とその後

Xは翌12日未明、愛荘町の線路で捕まりました。逮捕された際には約50万円と携帯電話を持っており、捜査で「自分が拳銃を田んぼに捨てた」と供述しました。警察は捜索を行う中で、田んぼに捨てられた拳銃と実弾を発見します。

法的手続き

事件直後、滋賀県警はXを殺人容疑で送致しました。これにより、Xは家庭裁判所の審判に付され、心神耗弱を考慮されることになりましたが、後に責任能力が認められました。公判は2019年1月に始まり、Xは起訴事実を認めます。非公開の少年審判で、Xは「Aからの指導がストレスになっていた」と供述しつつ、犯行を後悔していると語っていました。

判決

2019年2月8日、大津地裁はXに懲役22年の判決を言い渡しました。この決定は、警察官としての信託を裏切った極めて重大な事件として社会から強い非難を浴びました。被告は少年であったが、事件の深刻さや社会的影響は計り知れず、裁判後の公の場でも議論を呼ぶこととなりました。

事件の影響

この事件によって、日本の警察組織における新人警察官の研修方法や、警察官のメンタルヘルスへの取り組みなどが問われるようになりました。また、警察官による凶悪犯罪の発生がいかに危険であるかを再認識させる契機ともなりました。滋賀県警はこの事件を受けて、職員に対する教育・指導方針の見直しを行う必要性を痛感することとなりました。

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