河田橋

河田橋

河田橋は、愛知県一宮市浅井町河田と岐阜県各務原市川島松原町の間、木曽川の南派川に架かる重要な橋梁です。愛知県道151号線および岐阜県道114号線を構成する一部であり、両県を結ぶ主要な交通網の一端を担っています。この橋は、ワーレントラス構造という形式を採用しており、その堅牢な外観が特徴です。現在の橋は三代目にあたり、1958年に完成しました。

概要

現在の河田橋は、車道橋と歩道橋から構成されています。車道橋は1958年（昭和33年）8月8日に供用が開始され、全長は260メートル、幅員は6メートルです。一方、歩道橋はそれより遅れて1974年（昭和49年）1月11日に供用が開始され、全長は258.9メートル、幅員は2.25メートルとなっています。これらの橋が一体となって、多様な交通需要に対応しています。

歴史

河田橋が架かる以前、この場所には「河田渡船」が運航されていました。しかし、木曽川はしばしば洪水を起こすため、増水時には渡船が欠航となり、人々の往来に大きな支障をきたしていました。このような不便を解消するため、橋の架設が望まれるようになりました。

最初の橋が架けられたのは、1922年（大正11年）7月のことです。これが初代の河田橋で、木製であり、全長139.5メートル、幅員3.6メートルという規模でした。しかし、木製の橋は強度が十分ではなく、たび重なる洪水によって損傷を受けやすいという問題を抱えていました。

昭和時代に入り、河田橋を含む道路が県道に昇格すると、交通量は飛躍的に増加しました。これにより、より頑丈で容量の大きい橋が必要となります。そこで、1931年（昭和6年）7月、二代目の河田橋が架けられました。これも木製でしたが、全長は200メートル、幅員は3メートルと、初代よりわずかに規模が拡大されました。しかし、依然として木製であったため、洪水のたびに橋が破損したり流失したりする事態が頻発しました。その都度、かつての渡船が一時的な迂回路として利用されたり、橋の修復作業が行われたりしましたが、根本的な解決には至りませんでした。

このような状況の中、より安定した交通を確保するために、現在の三代目となる強固な橋の架設が計画されました。そして、1958年（昭和33年）8月8日、ついに現在の河田橋（車道橋）が完成し、供用が開始されました。これにより、洪水の心配なく安全に往来できるようになり、地域の発展に大きく貢献しました。

さらに、交通量の増加に伴い、歩行者の安全確保が課題となりました。これに対応するため、1974年（昭和49年）1月11日には、既存の車道橋とは別に歩道橋が架けられ、歩行者や自転車の通行がより安全に行えるようになりました。

しかし、長年の使用により、橋もまた老朽化が進みます。1994年（平成6年）頃には、橋桁の一部が破損し、床版には直径1メートルもの大きな穴が開いてしまうという事態が発生しました。このため、橋は約1か月にわたり全面通行止めとなり、大規模な修復工事が実施されました。この期間中は、近隣の渡橋などが迂回路として利用され、地域住民や利用者に影響が出ました。修復工事の完了後、橋の安全を確保するため、14トンの重量制限が設けられました。この重量制限は現在も続いており、大型車両の通行には注意が必要です。

河田橋は、かつての不便な渡船から始まり、洪水に悩まされた二度の木製橋の時代を経て、現在の堅牢な三代目となりました。幾度もの改修や追加工事を経て、現在も愛知・岐阜両県を結ぶ重要な役割を果たし続けています。

構造

現在の河田橋（車道橋）は、ワーレントラス構造を採用しています。これは、三角形を基本とした構造部材を組み合わせて荷重を分散させる形式で、比較的長い橋梁に適しており、強度と経済性を両立させやすい特徴があります。この構造により、木曽川南派川を安定して渡ることが可能となっています。

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参考文献
* 川島町 編『川島町史 通史編』川島町、1982年。

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