河野保人

河野保人（こうの やすと）

河野保人は、1932年に生まれた日本のツィター奏者であり、独自の演奏スタイルと広範なレパートリーで知られています。宮崎県児湯郡都農町の出身で、幼少期から音楽教育を受け、特に音楽教師である叔母からの影響を受けて成長しました。

幼少期と音楽の出会い

河野は小学5年生の時に初めて聴いたツィターの音楽に心を奪われます。それ以来、ツィターにのめり込み、宮崎県立高鍋高等学校を卒業後、音楽家としての道を歩むために上京しました。彼がヴァイオリン奏者として米軍キャンプを訪問した際には、本物のツィターと出会い、その魅力に心を打たれ、演奏家を志す決意をします。

ドイツへの渡航と独学

1960年、河野はツィターを学ぶためにドイツへ渡ります。しかし、当時はプロの奏者がほとんどおらず、学校も存在しなかったため、彼は独自に演奏技術を磨く必要がありました。その後、酒場での演奏や教会を訪れて楽譜を集めるなど、市井の演奏家と交流しながら、3000曲以上の楽譜を収集する成果をあげました。独学で技術を身につけた彼は、1960年半ばから演奏活動を開始し、日本各地やヨーロッパで定期的な演奏会を開催しました。

国際的な評価と演奏活動

ツィターは、特にヨーロッパでは奏者が減少している中で、河野は世界的に評価される演奏者となりました。1991年には中国の上海音楽学院で初めてのツィター音楽会を開催し、その実力を広めました。彼の演奏は多くの人々に感動を与え、ツィターの魅力を伝える重要な役割を果たしています。

収集家としての一面

河野は、ツィターの収集家としても知られ、60台以上の楽器をコレクションしています。これらの楽器は彼の演奏活動においても重要な役割を果たし、彼の音楽への情熱を象徴するものとなっています。

友情と交流

彼の音楽活動は他のアーティストとの友情によっても広がりました。映画「第三の男」の主題歌を演奏したアントーン・カラスとは、生前に親しい関係があり、共演も果たしています。また、オーストリアの三笠宮寬仁親王とも親しい友人であり、彼の頼みにより動物福祉のチャリティーコンサートを開催するなど、音楽を通じた活動を行ってきました。1988年には、彼の後援会の会長を寬仁親王が務めるなど、深い信頼関係が築かれています。

家族との音楽的つながり

河野の家族も音楽に関わっています。長男の直人はツィター奏者として1990年にデビューし、1999年には共演を果たしています。また、長女はドッグトレーナーとして活躍しており、家族全体がそれぞれの道で才能を発揮しています。

河野保人の音楽活動は、彼自身の成長だけでなく、周囲の人々との交流や影響を経て、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

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