河野通軌

河野通軌の生涯

河野通軌（かわの みちのり）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、伊予国の戦国大名である河野氏の一族に属していました。河野通直の養子として育てられ、名目上の当主としての地位を有していました。しかし、彼の生涯に関する具体的な年齢や死亡年は正確には分かっていません。

不遇の時代

通軌の養父である河野通直の代に、豊臣氏によって河野氏は滅ぼされることとなりました。この状況に不満を抱いた旧臣たちは、文禄の役において豊臣秀吉に対する暗殺未遂事件に関わったとされていますが、その真実については不明です。

関ヶ原の戦いと西軍へ

慶長5年（1600年）、通軌は関ヶ原の戦いにおいて支援を受けていた毛利氏に従い、西軍として参戦しました。この戦いが決定的だった時期に、彼は伊予国三津浜において兵2500を率いて攻撃を開始しました。毛利輝元の家臣である宍戸景好や桂元綱、浪人たちと共に松山沖の興居島を経て、さらなる領地回復を目指しました。

松前城の攻防

攻撃の標的となった松前城（正木城）は、その時期に城主の加藤嘉明が留守であったため、兵数も手薄でした。通軌の攻撃軍は豊臣秀頼の朱印状を示して開城を迫りましたが、嘉明の老臣である佃十成は引き延ばしを行い、夜襲を敢行しました。この夜、河野軍は予想外の攻撃を受け、多くの将が討たれ、状況は厳しくなりました。

河野軍の拠点とその運命

河野軍は久米如来寺など数か所の城砦に立てこもりましたが、加藤軍による攻囲が続いた結果、いくつかの拠点が攻撃を受けました。平岡直房の指揮の下、久米如来寺の河野軍は反撃を試みましたが、一揆軍は次々と鎮圧され、最終的には道後山へと撤退することを余儀なくされました。

撤退とその後

侵攻軍である毛利勢は、加藤軍に対して徹底的な追撃ができなかったため、河野軍も撤退を開始しました。その夜、関ヶ原の東軍の勝利の知らせが伝わり、毛利軍は撤退することとなります。このようにして、河野氏の伊予国再興の夢は絶たれました。通軌はその後、毛利氏の家臣として仕官し、山口で亡くなったとされています。

通軌と宍戸景好の関係

通軌と宍戸景好が同一人物であるとする説がありますが、当時の系譜にはこの関係について具体的な記載は見当たりません。また、宍戸景世が通軌であったとの説も存在しますが、確実性は乏しいです。「河野家譜 築山本」には、通直の後に宍戸氏出身の人物が河野氏を継いで通軌と名乗った記録がありますが、通軌と自称する人物の実在を証明する文献は確認できていません。

終わりに

河野通軌の歴史は、困難に満ちた戦国時代を反映しており、彼の名は日本の武士としての物語に刻まれています。彼の生涯は、家族の名誉を守るために戦った武将の苦悩と奮闘の証と言えるでしょう。

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