河野氏

河野氏とは

河野氏（かわのし、こうのし）は、日本の氏族であり、特に伊予国（現在の愛媛県）で大きな勢力を持った豪族として知られています。そのルーツは複数あり、三好義長を遠祖とする芥川氏の流れを汲む一派、桓武平氏良文流（秩父平氏）河越氏の流れを汲む一派、そして伊予国の越智氏の流れを汲む一派が確認されています。特に伊予の河野氏は、越智氏の末裔とされ、第22代当主河野通清以降は「通」の字を通字として用いています。

河野氏の読み方

河野氏の正しい読み方は「かわの」であり、「こうの」は後世に変化した読み方です。これは、和名類聚抄、平家物語、竹崎季長絵詞などの歴史的な文献からも明らかです。現在では「こうの」と読むことが一般的ですが、かつては「かわの」が正しい読み方でした。

河野氏の歴史

平安・鎌倉時代

河野氏は、平安時代末期には平清盛率いる伊勢平氏の傘下でしたが、源平合戦では源頼朝に協力し、西国の平氏勢力と戦いました。鎌倉時代には、承久の乱で後鳥羽上皇方に味方したために一時的に衰退しましたが、元寇の際には河野通有が活躍し、河野氏の最盛期を築きました。しかし、その後、家督争いや元弘の変での対応の失敗により、再び衰退しました。

南北朝・室町時代

南北朝時代には、細川氏との間で伊予の支配権を巡って争いました。河野氏は、南朝と北朝の間で立場を変えながら、最終的に室町幕府に帰属しました。室町時代には、細川氏の侵攻や予州家との内紛に苦しみ、勢力を弱めていきました。特に本家と予州家の家督争いは、瀬戸内海を挟んで細川氏や大内氏を巻き込む大きな戦乱に発展しました。

戦国時代・安土桃山時代

戦国時代に入ると、河野氏は有力国人の反乱や内部の家督争いに苦しめられ、勢力を拡大することができませんでした。大内氏の攻撃や、毛利氏の支援を受けながらも、独立した戦国大名としての地位を確立することはできませんでした。豊臣秀吉の四国征伐の際には降伏し、大名としての河野氏は滅亡しました。

河野水軍

河野氏は、瀬戸内海で水軍を組織し、河野水軍として活躍しました。特に、道後平野での稲作による豊富な食料確保が可能であったため、他の水軍とは異なり、島嶼部ではなく、陸地に拠点を置いたのが特徴です。村上[[水軍]]は形式的には河野氏の配下でしたが、実際には独立して活動していました。

河野氏の菩提寺と拠点

河野氏の菩提寺は旧北条市の善応寺であり、湯築城へ移るまでは、善応寺の双子山城を本丸としていました。その後、室町時代以降は湯築城を居城としました。

河野氏の家紋

河野氏の家紋は、越智氏より続く「折敷揺れ三文字」でしたが、第23代当主の河野通信より「折敷三文字」に変更されました。これは、鎌倉幕府の開府の際に、河野通信が源頼朝、北条時政に次いで3番目の席次であったことに由来するとされています。

河野氏の末裔と関連する人々

河野氏の末裔は、全国各地に存在します。特に九州地方には、「かわの」と読む河野姓が多く見られます。また、時宗の開祖である一遍智真は、河野氏の出身であり、時宗の宗紋には河野氏の家紋が用いられています。その他、伊藤博文や河野通倫、カワノマサトシなど、各界で活躍する人々が河野氏と関わりがあるとされています。

河野氏の「かわの」読み

現代では「こうの」と読むのが一般的ですが、歴史的には「かわの」が正しい読み方です。これは、古文書や絵巻物などにも記録されており、江戸時代初期までは「かわの」と読まれていました。明治時代以降、「こうの」と読むことが一般化したと考えられています。

まとめ

河野氏は、伊予国を拠点とした有力な豪族であり、瀬戸内海で水軍を組織し活躍しました。しかし、内乱や他勢力の侵攻により、戦国大名にはなり得ませんでした。河野氏の歴史は、中世日本の地方豪族の盛衰を語る上で重要な事例の一つです。

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