治安警備隊 (スペイン)

治安警備隊（Guardia Civil）

治安警備隊は、スペインにおける武装軍警察組織であり、その職務は内務省及び国防省に基づいて遂行されます。治安維持、犯罪対策、国境警備など多岐に亘る業務を担っています。

歴史

治安警備隊は1844年、バスク地方の貴族フランシスコ・ハビエル・ジロンによって設立されました。1855年にはマドリード近郊に初めての士官学校が設立され、隊員たちは厳格な教育訓練を受けました。設立当初、治安警備隊は主に農村地帯において治安を回復する活動に従事しました。

この時期、第一次カルリスタ戦争やその後の内戦によりスペインは荒廃しており、農村部では強盗が増加しました。政府は治安警備隊にその治安回復を任せ、部隊編成をナポレオン式軽歩兵師団に変更しました。この変化により、治安警備隊は高い機動力を持ち、地方を広く巡察できる能力を得ました。その後、沿岸部や国境地域、主要道路や鉄道周辺での監視活動も行うようになりました。

主な任務

治安警備隊は多くの任務を実施しています。具体的には、以下の業務が含まれます：

• - ハイウェイでのパトロール及び交通取り締まり
• - 麻薬や密輸の防止
• - 税関や港での入国管理
• - 刑務所の警備及び囚人の管理
• - 国内の国境警備
• - 爆発物の処理
• - 小規模都市や農村地域での治安維持
• - テロ対策
• - 沿岸警備や国外大使館の警備業務
• - サイバー犯罪対策
• - 環境法の執行

特に、2017年にはカタルーニャ州において独立住民投票が行われる際、治安維持活動としてスペイン国家警察と連携し、地域へ派遣されました。この活動の中で自治州警察と衝突があり、後に問題視されました。

国際活動

治安警備隊はスペイン国内だけでなく、国際的な平和維持活動にも参加しています。最近ではボスニアやアンゴラ、東ティモールなどに派遣され、現地での平和維持を支援しています。イラク戦争では情報収集活動に従事し、大きな成果を上げましたが、その任務中に隊員が殉職する事故も発生しました。

特徴

治安警備隊の隊員は通常、組を組んで巡邏します。彼らは伝統的な三角帽子（tricornio）を所有していますが、実際の勤務時には一般的な帽子を着用します。また、家族とともに営内に居住する隊員が多いのも特色です。これは、軍警察組織において珍しい形態です。

組織構成

2007年の時点では、約73,360人の現役兵が所属しており、以下の特別部隊や部門があります：

• - 水中活動特別グループ（GEAS）
• - 地方保安群（GRS）
• - 海洋部（Guardia Civil del Mar）
• - 自然保護部（SEPRONA）
• - 警察犬部隊（K-9）
• - その他多様な専門部隊

治安警備隊は、国内外での多岐に渡る任務を通じてスペインの安全を維持し、平和のための活動に貢献しています。

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