沿岸内水路

沿岸内水路 (Intracoastal Waterway, ICW)

沿岸内水路とは、アメリカの大西洋とメキシコ湾の沿岸に整備された、約3,000マイル（約4,800 km）におよぶ水路です。この水路は、主に観光・娯楽目的や商業用途のために利用されています。水路は自然の入江や河川、海峡などによって構成されており、一部は人工的に作られた運河も含まれています。外洋への進入をほとんどせず、沿岸の主要都市間を結ぶ重要な輸送路であるため、特に第二次世界大戦中にはUボートの脅威を避けるための重要な役割を果たしました。

沿岸内水路の特徴

この水路は、悪天候時の安全を確保し、レジャーボートの利用を促進するための重要な航行ルートとなっています。通行自体は無料ですが、商業利用を行う際には燃料税が課せられ、その収益は水路の維持管理に使われます。また、沿岸内水路は1919年に米国議会の承認を得て設営され、その後、米陸軍工兵隊によって維持されています。

連邦法により、沿岸内水路は最低でも12フィート（約4メートル）の水深を維持することが求められていますが、予算不足が影響し、実際には水深7フィート（約2.1メートル）程度にとどまっている場所が多く、これが通行の妨げとなっています。

水路の分断と接続計画

本来はニューヨークからテキサス州ブラウンズヴィルまでの連絡路として計画されましたが、現在は二つに分断されています。具体的には、以下の二つの区間があります。

1. 大西洋沿岸内水路（AIWW）
ニュージャージー州マナスカンからフロリダ州キー・ウェストまで。

2. メキシコ湾沿岸内水路（GIWW）
フロリダ州カラベルからテキサス州ブラウンズヴィルまで。

これら二つの区間をフロリダ半島北部に新たな運河（フロリダ横断運河）を建設することで接続しようとする計画が過去にありましたが、自然環境への配慮から1991年に公式に放棄されました。

主要な水路の一部

大西洋沿岸内水路

北端から南端にかけての水路の一部を以下に示します。

• - ニュージャージー州：マナスカン入江、運河、シルバー湾、バーンガット湾
• - デラウェア州：ケープ・メイ運河、デラウェア湾
• - メリーランド州：チェサピーク・デラウェア運河、チェサピーク湾
• - バージニア州：ハンプトン・ローズ、エリザベス川、運河
• - ノース・カロライナ州：カリタック水道、コインジョック湾、運河
• - サウス・カロライナ州：サバンナ川
• - ジョージア州：
• - フロリダ州：

メキシコ湾沿岸内水路

東端から西端にかけての水路も以下に示します。

• - フロリダ州
• - アラバマ州
• - ミシシッピ州
• - ルイジアナ州、バイユー・ラフォーシェ近郊
• - テキサス州

このように、アメリカの沿岸内水路は歴史的にも経済的にも重要なインフラであり、多様な利用目的に応じた役割を果たしています。

もう一度検索