泉アツノ

泉アツノ：白蛇占いと「こんなん出ましたけど～」で一世を風靡した霊能者

1925年生まれの泉アツノ氏は、幼少期から霊感の持ち主として知られ、歌手やクラブママを経て、独特の占いスタイルで人気を博した霊能者です。彼女の波乱に満ちた人生と、日本の芸能史に名を刻んだ「こんなん出ましたけど～」という決め台詞の誕生秘話に迫ります。

歌手から霊能者へ

大阪出身の泉氏は、宝塚歌劇団を経て歌手として活動していましたが、その後は大阪を拠点に、テレビ番組への出演や時代劇の端役なども経験。結婚、離婚を経て、クラブのママとしても活躍するなど、多様なキャリアを積みました。

転機となったのは、心理学者で日本占術協会会長だった浅野八郎氏との出会いでした。浅野氏の助言を受け、泉氏は自身の霊感を活かし、霊感・憑依を専門とする占い師として活動を始めることになります。浅野氏を通じて、澤田隆治氏らとの共演も果たし、テレビ出演を通して知名度を上げていきました。当初は自身の店の宣伝も兼ねていたテレビ出演でしたが、次第に彼女の占いは注目を集めるようになります。

白蛇占いと「こんなん出ましたけど～」

泉氏の占いは「白蛇が体に降りてくる」という独特のスタイルでした。指を組み、気迫のこもった声で占いをし、「汝」「男」「女子」といった言葉を用いながら、最後に「エイッ！」と叫んだ後、可愛らしい声で「こんなん出ましたけど～」と締めくくるのが特徴でした。紫色の頭巾をかぶった和服姿も印象的でした。この頭巾も、浅野八郎氏の助言によるものだったと伝えられています。

有名な決め台詞「こんなん出ましたけど～」の由来は、三浦雄一郎氏の鑑定で、結果が芳しくなかった際に謝罪の言葉として発した「こんなん出てしまいまして、すみません」という一言から生まれたそうです。この言葉は瞬く間に流行し、1989年には新語・流行語大賞を受賞するほどの人気を博しました。

テレビ出演から引退へ

1980年代後半から1990年代にかけて、泉氏は数々のテレビ番組に出演し、白蛇占い師として広く知られるようになりました。しかし、親族の助言を受け、1990年代末頃からテレビ出演を控えるようになり、以降は自宅で知人らを相手に占いを続けていました。2013年には、高齢を理由に出演依頼を辞退しています。

多彩な活動と晩年

泉アツノ氏の活動は占い師だけにとどまりません。歌手、クラブママ、そしてテレビタレントとしても活躍し、数々のエピソードを残しました。霊能者としての能力に加え、独特のキャラクターと親しみやすさが、多くの人々を魅了した理由と言えるでしょう。彼女の「こんなん出ましたけど～」という言葉は、今もなお人々の記憶に刻まれています。

参考文献

『幸せづくりおまじない』（1985年1月、成美堂出版）
『泉アツノの白蛇霊の世界』（1986年6月、かんき出版）
『こんなん出ましたけど』（1989年11月、関西テレビ）
フラッシュエキサイティング（光文社）2008年10月25日号

彼女の多彩な人生と、時代の寵児として輝いた瞬間は、後世に語り継がれるべき貴重なものです。

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