泉井久之助

泉井 久之助（いずい ひさのすけ）

泉井久之助（1905年7月2日 - 1983年5月28日）は、日本の著名な言語学者であり、特に印欧語と南洋諸語の研究で評価されています。彼の学問的キャリアは、京都大学を中心に展開され、第二次世界大戦前後の時代に多くの重要な調査と研究を行いました。

経歴

泉井は1905年に大阪市の天王寺に生まれ、1928年に京都帝国大学文学部言語学科を卒業しました。大学院に進学した彼は、1931年までの間、さらなる研究に励みました。その後、同大学の文学部の講師として着任し、1936年には助教授に昇任します。1938年から1941年にかけて、南洋諸語の調査のために3回の出張を重ねました。1942年にはベトナムに渡り、戦後も多くの国際会議に出席し、学問の発展に寄与しました。1969年には京都大学を定年退職し、その後も京都産業大学で教授として活躍しました。

泉井の業績は多岐にわたりますが、特にマライ=ポリネシアの言語に関する系統問題の解明や、言語研究における哲学的アプローチに注力していました。彼は、単に言語を表面的に扱うのではなく、その背後にある「哲学」を重視し、言語学の基盤を構築しました。

受賞歴

彼の優れた研究活動は高く評価され、1971年には紫綬褒章、1975年には勲二等瑞宝章を受勲しました。

研究内容と主な著作

泉井は専門分野の印欧語にとどまらず、世界中の様々な言語にも精通していました。特にかつて多くの学者が曖昧にしていたマライ=ポリネシアの系統問題を、確立された方法論で解決に導いたことは彼の大きな業績です。彼の著作の中でも、『言語学序説』や『言語研究とフンボルト』、さらには『比較言語学研究』などが特筆されます。これらは、彼の言語学の視点や彼が行った実地調査に基づいた深い洞察を提供しています。

いくつかの主な著書を以下に挙げます：

• - 『言語學序説』（1943年） - 日本語学の概念を初めて整然と説明した著作。
• - 『フンボルト』（1938年） - 言語研究者フンボルトの生涯と業績を詳述した作品。
• - 『言語の構造』（1939年） - 多様な言語の比較に基づく言語機能の探求。
• - 『マライ=ポリネシア諸語』（1955年） - 南洋言語の系統関係を分析した研究。

影響と遺産

泉井久之助は、言語学界において重要な地位を確立し、多くの後進に影響を与えました。彼の業績は今もなお、研究者や学生にとっての重要な参考文献であり続けています。1983年に彼が亡くなるまで、泉井は言語の研究に情熱を注ぎ、多くの人々と知識を共有しました。彼の学びの姿勢や研究の哲学は、今後も言語学の進展に貢献するでしょう。それゆえ、泉井久之助の存在は、言語学の歴史とその進化において欠かせないものとなっています。

もう一度検索