泉龍寺 (北杜市)

泉龍寺

泉龍寺（せんりゅうじ）は、山梨県北杜市高根町村山に位置する曹洞宗の寺院です。雨寶山泉龍寺と号し、本尊は薬師瑠璃光如来を祀っています。その歴史は平安時代にまで遡り、創建当時は真言宗の寺院として山岳信仰の中心的な役割を担っていました。後に曹洞宗に改宗し、現在に至ります。

歴史

平安時代

泉龍寺は、平安時代に沙門覚海阿闍梨が弟の蓮茂のために瑞雲山西照院として建立したのが始まりです。当時は真言宗の寺院として、山岳信仰の拠点として栄えました。

戦国時代から江戸時代

戦国時代末期、武田氏滅亡後、豊臣秀次の遺臣である池田某が出家し玄朔と名乗り、衰退していた西照院を曹洞宗に改宗し復興させました。玄朔は師である樹察和尚を開山に請願し、自身は二世として主君の菩提を弔いました。寺名は、伊豆の大寺最勝院と同音であったため、泉龍寺と改められました。山号も雨宝山と改められました。

慶長8年（1603年）には、徳川家康から寺領の寄進を受け、寺の基盤が確立されました。また、寛政9年（1797年）の記録によれば、本尊の薬師如来像は33年目ごとに開帳されていました。当時の薬師如来像は弘法大師の作とされていましたが、度重なる火災により本堂や山門などの建物を失いました。

明治時代から現代

明治13年（1880年）には、長沢地区の民家を移築し庫裡としました。その後、細々と法灯を掲げていましたが、昭和59年（1984年）に本堂、位牌堂、玄関などが新築され、現在の姿となりました。

境内

建物

現在の泉龍寺には、以下のような建物があります。

本堂：昭和59年（1984年）建立。銅板葺の八間×七間半の建物です。
位牌堂：昭和59年（1984年）建立。銅板葺の三間×三間の建物です。
玄関：昭和59年（1984年）建立。銅板葺の五間半×二間の建物です。
庫裡：明治13年（1880年）建立。瓦葺の十二間×六間の建物です。
小庫裡：明治13年（1880年）建立。瓦葺の四間半×六間半の建物です。
山門
土蔵：トタン葺の五間×三間の建物です。

碑文

境内には、以下の碑文があります。

泉龍寺復興記念の碑：昭和59年（1984年）9月建立
七世蕪庵無畏の句碑：本堂前にあり、昭和60年（1985年）2月11日に建立された、「鶯や人まねきつゝ忍び阿し」の句が刻まれています。

境外

大正寺の境内には、泉龍寺が所有する厩尻観音堂があります。この観音堂は、桃山時代の建築と推定され、春の彼岸の初日には大般若経の転読が行われます。観音堂は、東竜寺尾根の住民によって維持管理されており、夏祭りなどの行事も行われています。かつて泉龍寺の末寺であった東竜寺は、明治維新前に檀家とともに泉龍寺に併合されました。

年中行事

泉龍寺では、以下の主な年中行事が行われています。

1月1日～3日：初詣、元旦

交通アクセス

JR中央本線長坂駅から車で約10分の距離にあります。

脚注

参考文献

山本千杉『郷土史年表』山本千杉、1998年
高根町『高根町誌 通史編 下巻』高根町、1989年
原藤進『郷土高根 第38号』高根町郷土研究会、2021年
原藤進『郷土高根 第39号』高根町郷土研究会、2022年
奥山正典『続・山梨の文学碑』美知思波発行所、1994年
きたむらひろし『高根の史跡めぐり』きたむらひろし、2012年

外部リンク

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公式サイト

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