法心院

法心院（ほうしんいん）

法心院は、江戸時代中期に生きた女性で、徳川幕府6代将軍・徳川家宣の側室として知られています。彼女は、天和2年（1682年）に町医者・太田宗庵の娘として誕生し、幼名は古牟と伝えられています。また、一之御部屋や右近局とも呼ばれていました。

生涯

法心院の生涯は、将軍家との関わりの中で大きく変化しました。元禄15年（1702年）、家宣がまだ綱豊と名乗っていた頃、彼女は御湯殿掛の御末として桜田御殿に奉公に上がりました。その後、御次に昇進し、宝永元年（1704年）には、家宣が綱吉の世子として江戸城西の丸に移ったのに伴い、奥女中として西の丸の大奥に入りました。この頃から、家宣の寵愛を受けるようになり、御中臈にまで昇進しました。

宝永4年（1707年）7月、法心院は家宣との間に家千代という男児を出産しました。これにより、彼女は「一之部屋様」と呼ばれるようになりますが、家千代は同年9月に夭逝してしまいます。宝永6年（1709年）、家宣が将軍に就任すると、法心院は本丸大奥に移り、御所風に右近局（右近の方）と呼ばれるようになりました。しかし、正徳2年（1712年）に家宣が病没すると、法心院は落飾し、法心院と号しました。

落飾後、彼女は西の丸、馬場先御用屋敷、享保17年（1732年）には浜御殿へと住まいを転々としました。そして、明和3年（1766年）に85歳でその生涯を閉じました。彼女の法名は法心院殿遍浄至覚大姉で、上野東叡山光林院に埋葬されました。

関連作品

法心院は、その生涯がドラマチックであることから、多くの映像作品に登場しています。

映画

大奥（秘）物語 (1967年・東映) - 宮園純子 が演じました。
大奥 (2006年・東映) - 木村多江 が演じました。

テレビドラマ

大奥 (1968年・関西テレビ) - 石川阿弥子 がおちかの方役で演じました。
八代将軍吉宗 (1995年・NHK大河ドラマ) - 栗田よう子 が演じました。
大奥スペシャル（もうひとつの物語） (2006年・フジテレビ) - 木村多江 が演じました。
忠臣蔵 瑤泉院の陰謀 (2007年・テレビ東京) - 杉山あや羽 が演じました。
徳川風雲録 八代将軍吉宗 (2008年・テレビ東京) - 大音奈々 が右京の方役で演じました。
忠臣蔵の恋 四十八人目の忠臣 (2016年・NHK) - 内藤理沙 が演じました。

これらの作品を通して、法心院の波乱に満ちた生涯が描かれています。

まとめ

法心院は、将軍の側室という立場でありながら、その後の人生は決して平穏なものではありませんでした。彼女の生涯は、当時の女性の生き方や大奥の人間関係を考える上で、貴重な資料となっています。

出典

徳川家墓碑総覧
日本女性人名事典

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