法恩寺 (墨田区)

法恩寺（ほうおんじ）

法恩寺は東京都墨田区に位置する日蓮宗の寺院であり、山号は平河山、院号は本住院です。本尊として十界曼荼羅が安置されています。法恩寺の歴史は、1460年、太田道灌によって江戸城築城時に江戸城内の鎮護を目的に設立されたことから始まります。最初は本住院と呼ばれ、道灌の子息である法恩斎の年忌にあたる時、孫の太田資高によって「法恩寺」と改名されました。

時代を経て、法恩寺は神田柳原や谷中清水町に移転し、1695年には現在の地に落ち着きました。この際、法恩寺には20ある塔頭や11の末寺が存在し、その後も日蓮宗・小西法縁において重要な寺院としての地位を保持しています。法恩寺は、地域の住民とのつながりを大切にし、隅田川での施餓鬼、七草粥、震災記念行事、十五夜のお茶会、年末の餅つき会、花見の会など多種多様なイベントを通じて、地域の参加を促しています。

さらに、現在の「太平」という地名は、太田道灌の「太」という文字と、山号の「平河山」の「平」の字から取られたとされています。法恩寺の歴史は、その名の通り地域に深く根付いたものとなっています。

近年の前住職、鈴木貫仁は1972年に入寺し、東京小西法縁会会長、墨田区保護司会長などを歴任した後、1992年には大本山本圀寺の78世貫首に就任しました。また、執務の一環として、紀州徳川家の菩提寺である報恩寺の35世貫首にまで昇進しました。

現在の住職となる鈴木貫元は、2007年に副住職として活動を開始し、納骨堂「妙元廟」と日蓮聖人像を建立。2008年、貫仁から法灯を引き継ぎ、法恩寺の56世住職へと就任しました。

法恩寺は、墨田区に登録された有形文化財も保有しており、特に「太田道灌家供養塔」や「太田氏七代供養塔」がその一例です。ちなみに日蓮宗は1941年に本末を解体したため、正式な名称として旧本山や旧末寺という呼称が使われるようになりました。

法恩寺の関連する塔頭には、平河山千栄院、陽運院、法泉院、善行院などがあり、さらに江戸の他の地区にも多数の関連寺院が存在します。これらの寺院は法恩寺を中心に、日蓮宗の教えを広め、地域コミュニティへの貢献に努めています。法恩寺へのアクセスは、最寄りの錦糸町駅からおおよそ徒歩12分と便利です。この寺院は、歴史的背景と地域密着の行事を通じて、今もなお多くの人々に親しまれています。

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